平成27年1月1日より相続税の基礎控除額が下がり、相続税の課税対象となる方が増えることから相続への関心が高まっています。
そこで、自分で相続財産評価の概算を知るためのポイントを取り上げてみます。
【資産評価の準備資料】
まず、概算を始めるに当たり、図表1に掲げるものなどが必要となります。
【預貯金】
原則、評価対象者の名義のものに限られますが、他の名義の預金でも、実質支配している場合(名義預金)には、本人の預金として扱われますので、注意が必要です。
【未公開株式】
決算書を基に、会社の保有資産に不動産等があれば時価換算して計算していくので、専門家でないと算定は困難です。
【不動産】
1、平成27年度は固定資産税の評価替えの年
土地・家屋の固定資産税の評価額は、3年ごとに「評価替え」という価格の見直しを行います。
平成27年度は、その評価替えを行う基準年度となります。
宅地の固定資産税の評価は、地価公示価格の7割を目途に、土地の現況に即して評価されています。
一方、相続税の評価は、路線価によるところが多いですが、こちらは地価公示価格の8割を目途にしているので、固定資産税評価額よりも15%程度(8/7)多いと考えても概算値は計算できます。
家屋も3年ごとに評価替えが行われます。
評価の方法は「評価替えの時点で同じものを建てるといくらかかるのか」(再建築価格)を求め、建築後の経過年数に応じた減価を考慮して、評価額を算出します。
算出の結果、前年度を上回る場合には、前年度の額に据え置かれます。
2、課税明細書から評価額を読み取る
固定資産税は、一般的に5月に送られてくる納税通知書によって課税されます。
納税通知書に添付されている図表2の課税明細書(例)をご覧下さい。
「価格」の欄に記載されている額が、固定資産税の評価額です。
このように、固定資産税の課税明細書から、個々の不動産の状況が読み取れます。
不動産価値に見合った活用ができているか、じっくり考えたいところです。
なお、不動産を共有していると、持分に応じた評価になります。
貸地、貸家建付地、借地の場合は、借地権割合を調整して算定することになります。
【保険】
1、生命保険
終身保険については、必ず発生する終身保険金部分は、資産として評価します。
定期保険については、契約期間中に死亡事故が発生すれば死亡保険金として、みなし相続財産になりますが、評価上は、原則として無視します。
2、生命保険契約に関する権利
評価対象者が被保険者でない生命保険は、評価時点での解約返戻金で評価します。
3、損害保険
掛捨ての保険であれば評価なしですが、積立部分があれば、解約返戻金で評価します。
【その他の財産】
前記の他に図表3に示す遺産があった場合には、加算または減算されます。