平成28年度税制改正では、消費税の軽減税率が一番の注目点ですが、その一方、経済を刺激するための減税策にも重点が置かれています。
主な改正項目のポイントを整理してみます。
主な項目の適用時期は、次の表のとおりです。
なお、前年以前の改正で適用時期が今年以降となる項目も記載しています。
【消費課税】
軽減税率は消費税率を10%に引き上げる平成29年4月に導入し、対象は、酒類と外食を除いた飲食料品および一定の新聞で、税率は8%に据え置くことになります。
また、仕入税額控除の方式としてインボイス制度を平成33年から導入しますが、それまでの間は、請求書に一部記載を追加したものや簡易計算も認められます。
【法人課税】
1 法人税率の引下げ
他国に比べて高いとされてきた法人実効税率は、図表1のように来年度は20%台になり、ドイツとほぼ同率になります。
なお、税収減の穴埋めに資本金1億円を超える大企業に対する外形標準課税が強化されます。
2 中小企業の設備投資負担減
中小企業が平成28年度以降、30年度末までに1台または1基160万円以上等の新しい機械を買った場合、購入から3年間、固定資産税を半分に減額します。
【所得・資産課税】
1 三世代同居リフォーム減税
三世代で同居するためのリフォーム工事代に応じて、最大25万円が減税されます。
なお、適用要件は図表2のとおりです。
2 相続した不動産を3年内に譲渡したら3千万円控除
家を相続しても住まない場合、相続から3年間経った年の年末までに、その家や更地にした土地を売れば、譲渡所得のうち3千万円までが非課税となります。
平成28年4月から平成31年末までの売却が対象です。
3 セルフメディケーション(自主服薬)推進のためのスイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の創設
適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、一定のスイッチOTC医薬品を購入し、その支払った金額が年間1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額について、その年分の総所得金額から控除されます。
8万8千円が控除限度で、医療費控除と併用はできません。
【その他】
1 税の不正申告対応
期限後申告等の不正な申告を繰り返すと加算税が10%上乗せされます。
2 「企業版ふるさと納税」の創設
自治体の事業に企業から寄附を募り、寄附に応じた企業は、法人住民税や法人税が減税されます。
寄附の対象となるのは、結婚、出産、子育てや雇用など、安倍政権が掲げる「地方創生」に効果が高いと政府が認めた自治体の事業です。
3 減価償却制度
平成28年4月1日以後に取得をする建物附属設備および構築物の償却の方法について、定率法を廃止し、定額法のみになります。
4 車体課税の見直し
消費増税にあわせ自動車取得税を廃止し、燃費性能に応じた新税が導入されます。