平成27年度税制改正では、法人税改革、高齢者層から若年層への資産の早期移転を通じた住宅市場の活性化など、経済の好循環の確実な実現に資する措置が設けられています。
以下、主な改正項目のポイントを整理してみます。
改正項目タイムスケジュール
主要項目の適用時期は、下表のようになります。
なお、前年度以前の改正で適用時期が今年度以降となる項目も記載しています。
【法人課税】
1、法人税率の引下げ
法人税の税率を23.9%(現行25.5%)に引き下げ、法人の平成27年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
国税と地方税を合わせた法人実効税率は、平成27年度と28年度の2年間で3.29%引き下げます。
本年度は2.51%下げて32.11%になります(図表1参照)。
2、中小法人の軽減税率等の延長
中小法人の軽減税率(年800万円以下の所得部分の税率19%)と、軽減税率の特例(15%)は平成29年3月末まで延長されます。
3、欠損金の繰越控除制度の見直し
大法人については、平成27年4月1日以後開始する事業年度から控除限度額が縮小されます。
一方、全法人を対象に、欠損金の繰越期間が9年から10年に延長されます。
【所得・資産課税】
1、NISA
少額投資非課税制度(NISA)拡充の注目点は、未成年者を対象にした「子ども版」の創設です。
両親・祖父母が子や孫のために専用口座を開いて投資する場合、年80万円の非課税枠が設けられます。
一方、現行のNISAの非課税枠も年100万円から120万円に増えるので、夫婦と子供2人の世帯では年400万円までの投資で得る運用益が非課税となります(図表2参照)。
2、住宅取得資金の贈与
高齢者層から若年層に資金を移して住宅需要を刺激し、省エネルギー性や耐震性などを備えた質の高い住宅を増やすことを目的に、住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置は、適用期限を延長して拡充されます(図表3参照)。
3、結婚・出産・子育て資金の贈与非課税
祖父母や両親の資金を移すことで子や孫の結婚・出産・子育てを後押しするため、これらの資金の一括贈与に非課税措置が創設されます。
20歳以上50歳未満の子や孫の結婚・子育て費用に充てるための資金を信託等した場合に、1人1,000万円(結婚費用は300万円)まで贈与税がかかりません(図表4参照)。
4、確定拠出年金
従業員が加入する個人型確定拠出年金に小規模企業事業主が拠出した掛金の損金算入が認められます。
また、個人型確定拠出年金に、企業年金加入者、公務員等共済加入者、専業主婦等の加入が追加され、税制上の優遇措置も適用されます。
5、ふるさと納税
ふるさと納税が拡充され、特例控除額の上限が個人住民税所得割額の2割(現行1割)に引き上げられるとともに、一定のサラリーマンは確定申告が不要となります。