年末調整は、給与の支払者が給与の支払いを受ける1人1人について、毎月の給与や賞与などの支払いの際に源泉徴収した税額と、その年の給与の総額について、納めなければならない税額(年税額)とを比べて、過不足を精算するものです。
【平成25年の留意点】
1、給与所得控除の上限設定
給与所得控除は、給与所得者の必要経費的な性格を持っていますが、給与の収入金額が多くなれば控除額も多くなる仕組みとなっていました。
しかし、平成25年からは、年間の収入金額が1,500万円を超えても1,500万円の場合の控除額245万円でストップすることになりました。
2、復興特別所得税
所得税の2.1%の復興特別所得税の上乗せが、1月の源泉徴収の取扱いから始まっています(25年間)。
【年末調整の対象者】
年末調整の主な対象者は、次のいずれかに該当する人です。
なお、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出が前提となりますので、必ず提出してもらう必要があります。
1、1年を通じて勤務している人
2、年の中途で就職し、年末まで勤務している人
3、年の中途で退職した人のうち、次の人
(1) 死亡により退職した人
(2) 著しい心身の障害のため退職した人で、その退職の時期からみて、本年中に再就職ができないと認められる人
一方、次のいずれかに該当する人は、年末調整の対象外となります。
1、前記対象者のうち、本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人
2、2ヵ所以上から給与の支払いを受けている人で、他の給与の支払者に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人や、年末調整を行うときまでに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人(月額表又は日額表の乙欄適用者)
【所得控除額】
1、社会保険料控除額
支払ったまたは給与から控除された社会保険料の合計額
2、小規模企業共済等掛金控除額
(独)中小企業基盤整備機構に支払った共済掛金(旧第二種共済掛金は生命保険料控除の対象)、確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金または個人型年金加入者掛金、地方公共団体が実施する心身障害者扶養共済掛金との合算額
3、地震保険料控除額
(1) 地震保険料の額(最高5万円)
(2) 旧長期損害保険契約の支払保険料
1万円までの場合・・・支払保険料の全額
1万円を超える場合・・支払保険料×1/2+5,000円(最高15,000円)
※地震保険と旧長期損害保険の両方の控除額がある場合は、その合計額(最高5万円)
4、障害者控除額
(1) 障害者1人につき・・・・27万円
(2) 特別障害者1人につき・・40万円(同居特別障害者の場合75万円)
5、寡婦(寡夫)控除額
27万円(特定の寡婦は、35万円)
6、勤労学生控除額
27万円
7、配偶者控除額
(1) 一般の控除対象配偶者・・38万円
(2) 老人控除対象配偶者・・・48万円
8、配偶者特別控除額
配偶者の年間所得金額が38万円超76万円未満・・・3万円~38万円
※「配偶者控除」を受けている場合には、「配偶者特別控除」の適用を受けることができませんので注意してください。
9、扶養控除額
(1) 一般の控除対象扶養親族
16歳以上19歳未満・・・38万円
23歳以上70歳未満・・・38万円
(2) 特定扶養親族
19歳以上23歳未満・・・63万円
(3) 老人扶養親族
同居老親等・・・・・・・・・・58万円
同居老親等以外・・・・・・48万円
10、基礎控除額
38万円
※控除対象配偶者、控除対象扶養親族・・・
所得者と生計を一にする配偶者その他の親族、都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)および養護老人のうち、所得金額の合計額(繰越損失控除前)が38万円以下の者(青色事業専従者または白色事業専従者とされる者を除く)。
※特定扶養親族・・・
控除対象扶養親族のうち、平成3年1月2日から平成7年1月1日までの間に生まれた者(年齢19歳以上23歳未満の者)。
※老人控除対象配偶者、老人扶養親族・・・
昭和19年1月1日以前生まれ(年齢70歳以上)の控除対象配偶者、控除対象扶養親族。
※同居特別障害者・・・
控除対象配偶者や扶養親族が、特別障害者に該当し、かつ、その者が所得者または所得者と生計を一にする親族のいずれかと同居を常況としている者。
※同居老親等・・・
老人扶養親族のうち、所得者またはその配偶者の直系尊属で、所得者またはその配偶者のいずれかと同居を常況としている者。