平成28年より、非居住者である親族につき扶養控除等の適用を受ける居住者は、その国外居住親族に係る「親族関係書類」及び「送金関係書類」を提出等しなければならないこととされました。
この改正は、外国人である配偶者の母国に居住する扶養関係にない親族などを被扶養者とすることで所得税の負担を不当に減少させるケースなどに対応するものです。また、子を1年以上海外留学させる場合も、その子は国外居住親族に該当するため、この規定の適用を受けることになります。
これらの書類を提出していない場合、扶養控除等の適用を受けることができませんので、注意が必要です。
1.親族関係書類
親族関係書類とは、次の①又は②のいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを証するものをいいます。
① 戸籍の附票の写しなど、国等が発行した書類及び国外居住親族のパスポートの写し
② 外国政府等が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるもの(戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書等))
※パスポートを除き、原本の提出が必要です。
非居住者が扶養控除の適用がない16歳未満であっても、障害者控除を受ける場合には、提出が必要です。
2.送金関係書類
送金関係書類とは、次の書類で居住者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払いを必要の都度行ったことを明らかにするものをいいます。
① 金融機関における外国送金依頼書の控え等
② クレジットカード利用明細書(居住者が契約、支払いをし、国外居住親族が家族カードの名義人になっているクレジットカード)
※送金日又はクレジットカード利用日において、当該国外居住親族に送金したことを証する書類であり、子の分もまとめて送金している場合には、子の送金関係書類として扱うことはできません。
非居住者が扶養控除の適用がない16歳未満であっても、障害者控除を受ける場合には、提出が必要です。
3.書類の提出時期
① 年末調整の場合
源泉徴収義務者に対して、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出する際(入社時又は適用を受ける年の1月給与支給前まで)に、「親族関係書類」を併せて提出し、年末調整の際に「送金関係書類」を提出する必要があります。
② 確定申告の場合
確定申告書に両書類を添付する必要があります。
4.その他
① 給与所得者の扶養控除等申告書の記載事項
各対象者に係る「非居住者である親族」欄に「○」を記載(入社時又は年初に記載)し、「生計を一にする事実」欄にその年に国外居住親族へ送金等した金額の合計額を記載(年末調整時に記載)します。
② 書類の保存期間
源泉徴収義務者は、提出された親族関係書類及び送金関係書類を扶養控除等申告書と併せて7年間保存する必要があります。