交際費課税制度について、消費の拡大を通じた経済の活性化を図る観点から、平成26年度税制改正で見直しが行われました。
以下、そのポイントを説明します。
【制度の沿革】
交際費課税制度は、政策税制の1つとして昭和29年に創設されたもので、当時、事業上の必要を超えた接待をする傾向が見られたことから、企業の資本蓄積を阻害している等の社会的批判が背景にありました。
その後は、バブル景気とともに平成4年分まで交際費は増加し続けてきました(図表1参照)。
しかし、バブルがはじけた平成5年分以降、交際費等の支出額は減少傾向を辿り、規制しすぎの面も生じてきました。
そこで、平成18年度税制改正により、1人当たり5千円以下の一定の飲食費を交際費等から除外して損金にすることが認められるなど緩和策が行われました。
【改正前制度の概要】
法人が昭和57年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において支出する交際費等の額は、冗費を節約して自己資本を充実させることにより企業体質の強化を図るという政策的見地から、原則としてその全額を損金の額に算入できませんでした。
ただし、資本金1億円以下の中小法人については、平成25年4月1日以後に開始する事業年度から年800万円以下の支出交際費等の額は、その全額を損金算入することが認められていました(図表2参照)。
【飲食費50%損金算入制度の創設】
先の平成26年度税制改正では、消費の拡大を通じた経済の活性化を図る観点から、交際費等の損金不算入制度について、法人の規模に関わらず、平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度において支出する交際費等の額のうち、接待飲食費の額の50%を損金の額に算入できる措置(上限はありません)が設けられました。
なお、接待飲食費の額には、専らその法人の役員、従業員等に対する接待等のために支出する費用(いわゆる社内接待費)は含まれません。
【中小法人の選択適用】
また改正では、中小法人については、支出交際費等の額のうち、飲食費の50%損金算入制度と平成28年3月31日まで2年間延長された年800万円の定額控除限度額のどちらか有利な方を選択することが可能です(図表3参照)。