<ポイント>
◆レンタルオフィス契約も賃貸借にあたることがある
◆賃貸借であれば利用者は借地借家法により保護される
レンタルオフィスで新規オフィスを開設するので契約内容をチェックしてほしい、という相談を受けることがこの数年で増えてきました。利便性の高い立地に低コストでオフィスを開設したいといった観点から、ベンチャーなどの若い企業がレンタルオフィスを利用することが多いようです。
ニーズが拡大しているレンタルオフィスですが、契約としては一般的なオフィスの賃貸借(借家)とどう違うのでしょうか。
レンタルオフィスの利用契約では多くの場合、名目上は賃料ではなく運営者がレンタル利用者に提供するサービスの対価として月々の料金が発生することとされています。
レンタルオフィスの運営者は「賃料をもらっていないので賃貸借ではなく、借地借家法は適用されない」というスタンスであり、この点を契約書に謳っているケースもよくみます。
借地借家法では貸手側による契約打切り(解約や更新拒絶)が制限されています。レンタルオフィス運営者はこの法律が適用されないことにして、契約を打ち切りやすくしておきたいと考えているということになります。
法律論として考えます。
貸手による契約打切りを制限する借地借家法の条文は「強行法規」であり、物件の利用実態からみて賃貸借にあたるのであれば、当事者が合意したからといって借地借家法の適用を排除できるわけではありません。
利用実態として着目すべき第一のポイントは、構造や施錠の有無などからみて、利用者に割り当てられた区画が他のスペースから独立しているかどうか、利用者がその区画を占有しているといえるかどうか、ということです。
第二のポイントは、サービス利用料の名目に見合ったサービスが提供されているかどうかです。質的、量的に料金との釣り合いがとれていないのであれば、その料金は実質において物件使用の対価、すなわち賃料とみるべきです。
これら二点からみて、利用者が独立した区画を占有しており、賃料も発生しているということであれば、名目如何に関わらず賃貸借であり借地借家法が適用されます。
こうしたことは解釈の問題です。また、借地借家法が適用されるかどうかで事業運営においてどの程度の違いがあるかも検討する必要があります。
気になる点がある場合は弁護士に相談するようにしてください。