平成27年度税制改正では、高齢者に偏在する膨大な金融資産を若年層に移転し、成長資金へと動かす契機とするとともに、長期的には若年層に投資のすそ野を拡大することを目的として、ジュニアNISA(未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)を創設しています。
以下、創設されたジュニアNISAのポイントを整理してみます。
【概要】
0歳から19歳までの居住者等が年間80万円を上限として投資することができる未成年者口座を平成28年1月1日から平成35年12月31日までの間、金融商品取引業者等に開設することができます。
そして、平成28年4月1日以降、本口座における上場株式、公募株式投信等の受取配当、譲渡益が非課税となります(図表2参照)。
【払出禁止時期】
未成年者口座に入金した資金は、開設した者が3月31日時点で18歳である年の1月1日以降払い出すことが可能となりますが、それまでの期間は未成年者口座内の上場株式等を課税未成年者口座以外の口座に払い出すことができません(図表3参照)。
【非課税管理勘定】
非課税管理勘定は、未成年者口座内に非課税管理勘定を設けた日から同日の属する年の1月1日以後5年を経過する日までの期間開設することができ、新たに取得した上場株式等および同一の未成年者口座の他の非課税管理勘定から移管される上場株式等を受け入れることができます。
【継続管理勘定】
非課税管理勘定の開設期間である5年を経過した後、新たに勘定を開設することができない平成36年以降、これを管理する勘定が必要となります。
そこで、平成36年から平成40年までの期間、毎年80万円を上限に同一の未成年者口座の非課税管理勘定から移管される上場株式等を受け入れることができる継続管理勘定を設定できます。
【贈与税の非課税口座ではない】
ジュニアNISAはあくまでも配当・譲渡益の非課税口座であって贈与税の非課税口座ではないので、80万円を入金した場合、その年の暦年贈与の非課税枠の残額は、110万円-80万円=30万円となります。
【NISAの拡充】
NISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得および譲渡所得の非課税措置)について、非課税口座に設けられる各年分の非課税管理勘定に受け入れることができる上場株式等の取得対価の額の限度額を120万円(改正前100万円)に引き上げます。
なお、この改正は、平成28年分以後の非課税管理勘定について適用されます。