<ポイント>
◆保険の対象となる事故は何か、対象となる損害は何かを意識する
◆車両保険の対象となる事故を特約で限定して保険料を安くできる
◆車両保険の対象となる損害を特約で追加できる
以前に車両保険について書かせていただきましたが(2015年2月1日掲載の「車両保険特約について考えてみる」をご参照下さい。 )、今回は、もう一歩踏み込んだ内容を述べてみたいと思います。
車両保険とは、保険の対象となっている自動車(被保険自動車)が、交通事故、火災、台風などで壊れたり盗難被害でなくなったりしたときに、その自動車自体の損害(修理費または中古車の市場販売価格相当額)や、事故・事件に付随してかかる費用(たとえばレッカー代)を補償してくれる保険です。これが一般的な内容ですが、①保険の対象となる事故の範囲を限定したり、②保険の対象となる損害の範囲を広くしたりすることが特約で可能となっています。
①車両保険の対象事故を限定する特約
大きく分けて2つあります。
ひとつは、火災、台風や盗難で被保険自動車が壊れたりなくなったりしたときにのみ保険金が支払われるというものです(災害等に限定する特約)。自動車を運転していて壁や他車とぶつかったなどの事故を起こしても、車両保険金は支払われません。
もうひとつは、被保険自動車と他車とがぶつかったときにのみ保険金が支払われるというのです(他車との衝突に限定する特約)。
いずれの特約も、車両保険の対象事故が限定されるかわりに保険料が安くなるというメリットがあります。
②車両保険の対象となる損害を広げる特約
いろいろありますが、まずは代車特約について述べます。
これは、事故などで自動車が使えず代車が必要となったときに、代車費用の負担または代車の手配をしてくれる特約です。盗難被害にあったときや、他車との間で交通事故を起こしたが自らにも過失があって他車運転者加入の損害保険会社から代車の手配を受けられないときなどに威力を発揮します。
次に、全損時諸費用補償特約について述べます。
車両保険の対象となる事故が発生すると損害保険会社は、その自動車の事故時の市場販売価格を調査したうえで、その価格よりも低い金額で修理ができるとき(分損時)にはその修理金額を損害として補償し、市場販売価格以上の修理費用がかかるとき(全損時)にはその価格を損害として補償することになります。
ところが事故に遭うと、実際にはほかにも諸費用がかかります。典型例が、全損時の廃車費用です。そこで全損時には車両保険金額の10パーセントを上乗せして補償する特約がうまれました。これが全損時諸費用補償特約です。
次に、車両全損修理時特約について述べます。
自動車の事故時の市場販売価格以上の修理費用がかかるとして全損となったがその自動車を修理したとき、この特約が付けてあれば、車両保険金額(市場販売価格)と修理費の差額の支払いも受けることができます。すなわち修理費全額の支払を受けることができます。被保険自動車に愛着があり、全損したとしても買い換えずに修理したいと考えているときなどには検討の余地があると思います。
次に、車両新価特約について述べます。
この特約は、事故により自動車が全損となった、または修理費が新車価格の50パーセント以上かかる状況で、自動車を再取得すると、新車価格を限度に実際の再購入費用(車両本体価格+付属品+消費税)が支払われるというものです。再取得しないのであれば新車価格を限度に修理費が支払われます。
ほかにも、自動車に乗せていた身の回り品の損害を補償してくれる身の回り品補償特約もあります。たとえば高価なゴルフクラブセットを自動車に積んでいたが、事故で破損したり自動車ごと盗まれたりしたときに支払われることとなります。
その他いろいろありますし、同時に組み入れられないものもあります。詳しくは代理店などに確認していただければと思いますが、車両保険を検討する際の参考になれば幸いです。