最近日本でも「起業」が盛んになりました。アメリカには及びませんが、いわゆるベンチャー企業を起こし、それで成功して大きな財産を獲得する人が次々と現れています。
起業で成功し、大金持ちになるシナリオは次のとおりです。
まず、会社を設立し、新技術や新ビジネスモデルを事業化します。最初は自分自身とごく近い関係者の出資金に頼ります。そして、業績を伸ばし、企業価値を高めていき、成功の兆しが見えてくると、関連企業やベンチャーキャピタルなどが資金を提供してくれるようになります。
そのようにして、どんどん増資し、業容が発展し、企業価値が高まっていくと、やがて一つの到達点にたどり着きます。それは、その会社の株式を上場する(IPO)ということです。
起業家は、最初に事業を立ち上げたときから、これを目標に、この日を楽しみにして努力を重ねるものとも言えます。もっとも、ここまで到達する起業家は全体のごく一部でしょうが。
IPOに際しては、それまでの出資者(株主)はその保有株式の一部を売却することになります。このときすでに会社の価値は相当上がっているので、その株価によって売却すれば、出資金を大幅に上回る現金を獲得することができます。
また、この利益を得られるのは出資者だけではありません。あらかじめストックオプション(株式を一定の価格で購入できる権利)を与えられていた取締役や従業員も、それによって購入した株式を売却して望外の大きな利益をあげることができます。
アメリカのカリフォルニア州シリコンバレーにはこのような起業家、大金持ちがいっぱいいます。例えば、平成16年8月、インターネット検索最大手のグーグルが史上最大規模のIPOを行いました。この会社は、元スタンフォード大学の学生だったラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが創業しました。その中核技術はスタンフォード大学で開発されたもので、いわゆる「大学発ベンチャー」と言われるものの一つです。
このIPOの成功で、ペイジとブリンはそれぞれ4000万ドル(約44億円)を獲得しました。また、ストックオプションを保有していた普通の従業員もその権利を行使して大金持ちになりました。スタンフォード大学も、保有していた同社の株式(時価総額1億8000万ドル)の一部を売却して、1560万ドル(約17億円)を手にしたことが報じられています。
※ なお、当事務所でも、日本における大学発ベンチャー起業を支援するため、その法的アドバイスを行っています。