終活のひとつの形(1) ~死後事務委任契約について
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<ポイント>
◆死後事務委任契約の利用
◆死後事務委任契約になじむ事務
◆死後事務委任契約で注意すべき点

 

1 死後には、様々な事務処理が発生します。しかし、現代では、身寄りがなく、あるいは身寄りはあっても頼れないなど、ご自身の死後に生じる事務処理を親族等に期待できず不安を抱えている方が増えています。このような方のご不安を解消する手段として、死後事務委任契約により、第三者に任せることが考えられます。

2 死後事務委任契約になじむ事務
死後事務委任契約で、委任できることには、概ね以下のようなものがあります。
(1)葬儀等に関する事務
・通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務
・供養に関する事務
(2)各種支払いに関する事務
・医療費:医療費の支払いに関する事務
・不動産:家賃・地代・管理費等の支払いと敷金・保証金等の支払いに関する事務
・介護 :老人ホーム等の施設利用料の支払いと入居一時金等の受領に関する事務
・生活費:水道光熱費等公共料金の支払いと解約に関する事務
・税金 :固定資産税等税金を支払う事務
(3)行政手続きに関する事務
・死亡届の提出事務
・運転免許証や健康保険証の返還等の事務
・年金の受給資格の抹消手続等の事務
(4)その他
・facebook、x(旧twitter)、instagramなどSNSのアカウント削除
・パソコン、携帯電話内の情報の抹消
・残されたペットに関する環境整備

3 死後事務委任契約で注意すべき点
遺産(不動産、預貯金、株式など)の処分については、遺言で定める必要があります。死後事務委任契約で財産を処分する事務(遺産や形見の整理、お世話になった友人等への謝礼等)を定めた場合には、相続人からその有効性が問題とされかねません。こうした財産の処分は「遺言」によることが望ましいです。
死後事務委任契約を作成するには以上のような点等を注意する必要がありますので、お気軽に弁護士にご相談ください。