管理組合法人について
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<ポイント>
◆管理組合が法人化すると不動産登記手続において利点がある
◆法人化するには特別決議が必要
◆法人化した後は管理者に代わって管理組合法人が区分所有者を代理する

区分所有法上、区分所有者は全員で、建物・敷地・付属施設を管理するための団体を当然に構成するとされています。通常、管理組合がこの団体に当たりますが、区分所有者全員で共有する不動産について、当然に管理組合の名義で不動産登記ができるわけではありません。
区分所有者全員の共有名義で登記することや、管理組合の代表者の名義で登記することが考えられますが
前者には、区分所有者が入れ替わるたびに名義変更するのが煩雑という問題点があります。
後者には、法人でない団体の代表者の名義で登記するにあたり肩書をつけられず、理事長個人の名義で登記することとなり、理事長個人の資産との区別が曖昧になるという問題点があります。
このような不都合を回避し、区分所有者全員の共有不動産について管理組合の名義で不動産登記をするためには、法人化する必要があります。

管理組合が管理組合法人となるには、区分所有法上、区分所有者の4分の3以上かつ議決権の4分の3以上の多数による特別決議が必要です。法人化すること、法人の名称を定めること、法人の事務所を定めることのいずれについても特別決議が必要です(特別決議事項ですが「議案の要領」の通知までは不要であることについて、拙稿「分譲マンションの集会について 2」をご参照ください)。
そのうえで、設立の登記をして初めて管理組合法人が成立します。

管理組合法人の名称を定めるにあたっては、その名称の中に「管理組合法人」を入れなければなりません。
設立の登記事項として、組合等登記令という法令により、①目的および業務、②名称、③事務所の所在場所、④代表権を有する者の氏名・住所等、⑤共同代表の定めがあるときはその定め、が挙げられています。
区分所有法上、理事が数人いるときは各自が管理組合法人を代表すると定められているので、理事が数人いるときは原則としてその数人の理事の氏名・住所等が登記事項となります。もっとも、規約や集会決議により特定の理事を代表理事と定めたときは、その理事の住所・氏名のみ登記すればよいこととなります。

管理組合法人が成立する前の集会の決議、規約および管理者(たとえばマンション標準管理規約における理事長)の職務の範囲内の行為は、管理組合法人について効力を生じます。

区分所有法上、法人化していない管理組合では、管理者がその職務に関して区分所有者を代理すると定められていますが、管理組合法人が成立した後は、管理者に代わって管理組合法人がその事務に関して区分所有者を代理します。
そして管理組合法人が、管理者に代わって区分所有者が共用部分等に関する損害保険契約に基づく保険金額、共用部分等について生じた損害賠償金・不当利得による返還金を請求・受領していくこととなります。

参考になれば幸いです。