<ポイント>
◆長期修繕計画の内容として最低限定めるべきものがあり、かつ定期的な見直しが必要であること
◆劣化診断(建物診断)に要する経費を管理費または修繕積立金のどちらから充当すべきか常に意識すること
今回は、マンション標準管理規約(単棟型)において、管理組合の業務がどのように定められているかについてお話したいと思います。
まず、そもそも管理組合の構成員である組合員の資格は、区分所有者となったときに取得し、区分所有者でなくなったときに喪失し、組合員の資格を取得・喪失した者は、直ちにその旨を書面(電磁的方法が利用可能なら書面または電磁的方法)で管理組合に届け出なければならないと定められています。
届出書のひな形が、標準管理規約( 標準規約条文第1~4章まで (mlit.go.jp) )のコメント第31条関係に記載されており、参考になります。
そして管理組合は、建物・敷地・附属施設の管理のために以下の業務を行うと定められています。
1.管理組合が管理する敷地・共用部分・付属施設(まとめて組合管理部分)の保安・保全・保守・清掃・消毒及びごみ処理
2.組合管理部分の修繕
3.長期修繕計画の作成・変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理
4.建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
5.マンションを分譲した宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
6.修繕等の履歴情報の整理及び管理等
7.共用部分等に係る火災保険・地震保険その他の損害保険に関する業務
8.区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
9.敷地・共用部分・付属施設の変更・運営
10.修繕積立金の運用
11.官公署・町内会等との渉外業務
12.マンション及び周辺の風紀・秩序・安全の維持、防災、居住環境の維持・向上に関する業務
13.広報、連絡業務
14.管理組合の消滅時における残余財産の清算
15.その他建物・敷地・附属施設の管理に関する業務
そのうえで、標準管理規約のコメントでは、上記3の長期修繕計画の内容としては次のようなものが最低限必要であり、かつ内容を定期的に見直すことが必要とされています。
■計画期間が30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とすること。
■計画修繕の対象となる工事として外壁補修・屋上防水・給排水管取替え・窓及び玄関扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期・工事金額等が定められているものであること。
■全体の工事金額が定められたものであること。
また、長期修繕計画の作成・変更、修繕工事の実施の前提として、管理組合は劣化診断(建物診断)を併せて行う必要があるとしたうえで、経費の充当について次のとおり述べられています。
A.「長期修繕計画の作成・変更に要する経費」や「長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費」の充当については、管理費または修繕積立金のどちらからでも可能。
B.修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則として修繕積立金から取り崩す。
上記5の【管理組合が管理すべき設計図書】の具体的内容は、標準管理規約(上記URL)のコメント第32条関係5において、上記6の【修繕等の履歴情報】の具体的内容は、標準管理規約(上記URL)のコメント第32条関係6において、詳細に述べられています。