管理組合の役員について2
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<ポイント>
◆役員が任期途中で欠けた場合に備えて補欠役員の選任方法を予め定めておくことが考えられる
◆役員が管理組合の利益を犠牲にして自らまたは第三者の利益を図ることのないよう理事会で重要な事実の承認が必要

前回に引き続き、マンション標準管理規約(単棟型)で管理組合の役員についてどのように定められているのか、みていきたいと思います。

役員の任期について、次の内容が定められています。
ア 役員の任期は○年。再任を妨げない。
イ 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間。
ウ 任期の満了や辞任で退任する役員は、後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う。
エ 組合員だけを役員に選任できると規約で定めている場合、その役員が組合員でなくなれば役員としての地位も失う。
オ 外部専門家も役員に選任できると規約で定めている場合、選任時(再任時を除く)に組合員であった役員が組合員でなくなれば、役員としての地位も失う。

標準管理規約のコメントをみると、さらに以下の説明がなされています。
ア 役員の任期は、組合の実情に応じて1~2年で設定することとし、選任にあたっては、その就任日・任期の期限を明確にする。
イ 業務の継続性を重視すれば、役員は半数改選とするのもよい。この場合、役員の任期は2年とする。
ウ 役員が任期途中で欠けた場合、総会の決議で新たな役員を選任できるが、外部専門家の役員就任の可能性や災害等緊急時の迅速な対応の必要性を踏まえると、規約で、あらかじめ補欠を定めておくことができる旨規定するなど、補欠の役員の選任方法について定めておくことが望ましい。
エ 組合員である役員が転出・死亡などにより任期途中で欠けた場合には、組合員から補欠の役員を理事会決議で選任できる、と規約で定めておくことも可能。
オ 理事や監事の員数を、○~○名という枠で定めている場合は、その下限の員数を満たさなくなったときに補欠を選任する必要あり。

役員の権利または義務としては、次の内容が定められています。
ア 法令・規約・細則、総会決議、理事会決議に従い、組合員のために誠実にその職務を遂行しなければならない。
イ 役員は、別に定めるところにより、役員としての活動に応ずる必要経費の支払と報酬を受けることができる。
ウ 役員は次の場合、理事会で当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
1.役員が自己または第三者のために管理組合と取引をしようとするとき。
2.管理組合が、役員以外の者との間で、管理組合とその役員との利益が相反する取引をしようとするとき。

役員の職務について補足しますと、標準管理規約のコメントで、特に外部専門家の役員就任にあたっては、判断・執行の誤りによる財産毀損に係る賠償責任保険への加入に努め、保険限度額の充実等にも努めるべき、と述べられています。

役員の報酬について補足しますと、無報酬とするのではなく報酬を支払うこととする場合は、その額に関しては、標準管理規約上、役員活動費として総会の決議事項と考えられます。また、「管理組合の運営に要する費用」として管理費から支出されると考えられます。

利益相反取引について補足しますと、上記ウ1.2の取引をしようとする理事は、理事会の決議に特別の利害関係を有しているので、標準管理規約上、その議決に加われません。また、標準管理規約上、管理組合と理事長との利益が相反する事項については、監事または他の理事が管理組合を代表するとされています。