厚生労働省の男女雇用機会均等政策研究会は、平成16年6月、男女雇用機会均等法を改正する報告書をまとめました。報告書の主な内容としては、「間接差別」の禁止があります。
「間接差別」とは、身長・体重など一見性別と関係ない中立な基準を設けた採用などが一方の性に対して不利益を与えることとされています。報告書では、そのような規定や基準に合理性、正当性が認められない場合は、間接差別にあたるとして禁止する方針です。
例えば、合理的な理由なく採用で身長制限を行った結果、女性の採用数が男性より極端に少なくなった場合など、男女を基準としていないのに、結果として女性の就労を妨げる結果となるため、このような実質的な差別をどのように禁止するのかが問題となっていました。今回、欧米各国の例を参考にして、かかる実質的な差別をも禁止する措置を導入する旨の報告がなされています。
このほか、福利厚生の適用や家族手当などの支給条件を、特段の合理性なく住民票の世帯主とした結果、受給できる女性が少なくなる場合なども間接差別に当たるとしています。
これまで、男女雇用機会均等法は、女性の差別を禁じていましたが、欧米では男女両性への差別を禁じていますし、近時、保育士などの職業で男性が採用の際に不利益を受けていることが問題となっています。報告書では、男性に対する差別も禁止されることを求めています。
男女が働きやすい社会の実現に向けた国の施策が求められるなか、男女雇用機会均等法も、単に女性を保護するだけではなく、男女の区別なくそれぞれが自分らしく仕事ができるようにするための法整備の一環として改正されることになります。
この報告書を受け、厚生労働省は、平成18年を目途に改正案を国会に提出する見込みです。
男女雇用機会均等法の改正
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