株券廃止 その1
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金融庁は、ペーパーレス制度を進めるために平成21年末までに株式公開企業に株券廃止を事実上義務付けることにし、中小企業など非公開会社については、平成16年中に株券を発行しないでも済むようにするそうです(日本経済新聞平成16年2月2日朝刊)。
これまで、商法によれば、株式を譲渡するには株券そのものを交付しなければなりませんでした。
しかし、中小企業では実際には株券を発行していないことが多く、契約書だけで株式の譲渡が行なわれたりしていました。
このような譲渡方法は厳密には商法に違反しており、株式譲渡が無効になる恐れがありました。
裁判例では、会社が不当に株券の発行を遅らせているような場合には、契約書だけでも株式譲渡を有効としたものがあります。
ただ、どのような場合に株券を発行しないでも株式譲渡ができるかを明言することは難しく、私たち弁護士としては、後日の紛争を避けるために会社に株券を発行してもらうようにアドバイスしていました。
株式公開企業については、公布後5年以内のある時点で一斉に定款を変更し、ペーパーレス化を導入するよう事実上強制します。
株券の発行が不要になれば、株式発行や譲渡、株主の権利行使に関する手続きなどをコンピューターで済ませることができます。このように、株式の譲渡は簡単にできるようになり、株取引の迅速化やコスト削減など実務上の大きな利点があると考えられます。