労働基準法が改正され、平成16年1月1日から施行されました。
労働契約の最長期間の延長、解雇ルールの整備、裁量労働に関する規制緩和などの点で改正されています。
まず、期間の定めのある労働契約の期間につきこれまでは原則最長1年とされていたところ、今回の改正で上限を原則3年とすることとしました。
あわせて、専門職や満60歳以上の労働者との間の労働契約については、その契約期間の上限を5年とすることとしました。
なお、当面の間は、1年を経過した時点で、労働者側からの申し出によっていつでも退職できることになっています。
次に、解雇に関するルールが整備されました。
最も注目を集めたのが解雇制限の規定が労働基準法に設けられたことです。改正労基法18条の2として「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする。」と規定されました。
これまで解雇の一般的基準としては「解雇権の濫用は無効」との最高裁判例が通用していましたが、その趣旨が法律化されました。
また、解雇理由に関しこれまで退職時に証明が必要とされていただけだったのが、労働者は解雇の予告をされた日から退職の日までの間においても、解雇の理由についての証明書を請求できることになりました。
労使当事者間において解雇についての事前の予測性を高めるため、就業規則に退職に関する事項として「解雇の事由」を記載することになりました。
そして、裁量労働制に関する規制が緩和されました。
そもそも裁量労働制とは、労働者に時間配分や仕事の仕方を委ねた場合に、労使間であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度(みなし労働時間制)です。
今回の改正では、「企画業務型裁量労働制」(デザイナーやシステムエンジニアなど専門的な業務に就く者が対象)の導入について労使委員会の決議を5分の4以上の多数決とする(これまでは全員の合意が必要)など手続きや運用の規制が緩和され、対象となる事業場もそれまで本社等に限定されていたのが無制限となりました。
また、「専門業務型裁量労働制」(事業運営の企画、立案、調査及び分析の業務を行うホワイトカラー労働者が対象)については、労使協定で定めるところにより、使用者が労働者の健康・福祉を確保するための措置や苦情の処理に関する措置を講ずることを労使協定で定めなければならないことになりました。
改正労働基準法、施行
【関連カテゴリー】