<ポイント>
◆廃棄物の処理等に関しては廃棄物処理法による様々な制約がある
◆廃棄物の該当性判断は容易ではなく、行政が該当基準を公開している
◆廃棄物に該当するかは、占有者(所持者)の意思のみによって決まるものではない
ある物が「廃棄物」に該当する場合、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(いわゆる廃棄物処理法)により、その物の処理について様々な制約が課せられることになります。
それでは「廃棄物」とはどのような物なのでしょうか。廃棄物処理法には、次のような定義が定められていますが、これだけで廃棄物の該当性を判断することはできません。
(「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。)
そのため、行政は廃棄物について次のような判断基準を公表しています。
「廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものであること。」
この文章のうち、「占有者の意思等を総合的に勘案」という部分を見て、「要するに占有者(≒所持者)の意思からして、有償譲渡するもの、されるものは廃棄物に該当しないのか。」と理解する方もいるかもしれません。
しかし、その理解は誤りです。
実際、過去に、一般的に考えて明らかに廃棄物に該当するものについて、「有償譲渡を受けた」などと主張して、廃棄物処理法の適用を免れようとした者がいたのです。
このような者への対策として、行政は「占有者の意思」について次のように述べています
「客観的要素から社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思として、適切に利用し若しくは他人に有償譲渡する意思が認められること、又は放置若しくは処分の意思が認められないこと。」
「単に占有者において自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができるものであると認識しているか否かは廃棄物に該当するか否かを判断する際の決定的な要素となるものではない」
「(その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無という)各種判断要素の基準に照らし、適切な利用を行おうとする意思があるとは判断されない場合、又は主として廃棄物の脱法的な処理を目的としたものと判断される場合には、占有者の主張する意思の内容によらず、廃棄物に該当するものと判断される」
このような行政の考え方からすると、「普通は有償譲渡されるようなものじゃないけれど、使い道があるので、低額な有価物ということにして引き取ってもらおう。」などという取り扱いはできないことになります。
このように廃棄物か否かの判断が容易ではない場合があることには、注意が必要です。