<ポイント>
◆区分所有者になった者等はその旨を、届け出た内容に変更があればその旨を、直ちに管理組合に届け出なければならない
◆届出がないことにより共用部分等の管理に支障があれば、理事長は理事会決議を経て区分所有者の所在等を探索できる
今回は、マンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準規約」といいます)で定められている区分所有者の所在等の探索についてお話しします。その後、簡単にではありますが細則についても触れさせていただきます。
標準規約上
新たに組合員の資格を取得または喪失した者(=区分所有者になった者、または区分所有者でなくなった者)は、直ちにその旨を書面または電磁的方法により管理組合に届け出なければならない
組合員(=区分所有者)は、届け出た内容に変更があれば直ちにその旨を書面または電磁的方法により届け出なければならない
とされています。
これを前提として、区分所有者が届け出ないことにより敷地・共用部分等の管理に支障を及ぼし、または及ぼすおそれがある場合には、理事長は
・理事会決議を経て区分所有者の所在等を探索できる
・探索に要した費用について、違約金としての弁護士費用等を加算して当該区分所有者に請求できる
・理事会決議により、管理組合を代表して訴訟その他の法的措置を追行できる
とされています。
なお、標準規約コメントには『敷地・共用部分等の管理に支障を及ぼす場合』の例として
・管理費等の請求先が不明である場合
・総会の成立や決議が困難となる場合
・専有部分の管理不全が放置されて共用部分等へ悪影響を与え、住環境が悪化しているのに当該専有部分の区分所有者に必要な措置をとれない場合等
が挙げられています。
また、標準規約コメントには『探索に要した費用』の例として
・登記事項証明書や住民票写し等の交付申請費用及び郵便代等の実費
・その他探索に要した費用
が挙げられています。
さらに標準規約コメントでは、未払管理費等を請求する際に区分所有者の所在等を探索した場合も、その『探索に要した費用』を併せて請求できる旨説明されています。
なお、標準機約上、届出をしない区分所有者に請求した弁護士費用等及び探索に要し
た費用に相当する収納金は、管理費と同様に扱われる旨定められています。
次に、細則についてお話しします。
標準規約上、総会・理事会の運営、会計処理、管理組合への届出事項等について、規約とは別に細則を定めることができる、とされています。
そのうえで標準規約コメントをみますと、細則としては他に、役員選出方法・管理事務の委託業者の選定方法・文書保存等に関するものが考えられる、とされています。
最後に、規約・使用細則等に定めのない事項は区分所有法その他の法令の定めによること、規約・使用細則等・法令のいずれにも定めのない事項は、総会決議によることが定められています。
参考になれば幸いです。