<ポイント>
◆組合員のほかに理事会が必要と認めた者も総会に出席可能
◆区分所有者の承諾ある専有部分占有者のうち会議の目的に利害関係ある者も出席可能
◆組合員の議決権割合は各マンションの実情に合わせて定めることが考えられる
前回は、マンション標準管理規約(単棟型)では管理組合の総会についてどのように定められているか、特に招集手続についてどのように定められているかを述べました(「区分所有マンションの管理組合の総会について1」 をご参照)。
今回は招集手続について理事長以外の者が総会を招集できる場合を補足したうえで、総会に出席できる者や議決権割合についてお話しします。
標準管理規約上、組合員が組合員総数の1/5以上かつ議決権総数の5/1以上の組合員の同意を得て、会議の目的(議題のこと)を示して総会の招集を請求したときは、理事長は、2週間以内に、その請求日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議またはマンション敷地売却決議であれば2か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集通知を発しなければならない、とされています。
また、理事長が通知を発しないときは、総会を招集するよう請求をした組合員は、 臨時総会を招集できる、とされています。
このように組合員が招集を請求し、または組合員が自ら招集して開催された臨時総会の議長は、総会に出席した組合員(書面、電磁的方法、または代理人により議決権行使する者を含む)の議決権の過半数をもって、組合員の中から選任する、とされています。
標準管理規約(単棟型)では、組合員のほかに理事会が必要と認めた者も総会に出席できる、とされています。標準管理規約コメントをみると、具体例としてマンション管理業者・管理員・マンション管理士等が挙げられています。
また、区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者(典型例は賃借人)も、会議の目的(議題のこと)につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる、とされています。
前回の「区分所有マンションの管理組合の総会について1」でお話ししたとおり、標準管理規約(単棟型)では、区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者が会議の目的について利害関係を有する場合、組合員に招集通知を発した後遅滞なく、その通知内容を所定の掲示場所に掲示しなければならないとされています。これにより賃借人等は、総会に出席して意見を述べるかどうか判断できます。
なお、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない、とされています。
次に、議決権割合について説明します。標準管理規約(単棟型)では、各組合員の議決権割合として、同規約に別表(住戸番号ごとに議決権割合の記載された表)が添付されています。
管理規約コメントを参考にすると、議決権割合は以下の方法で定めることが考えられます。
■各住戸が比較的均質の場合
・議決権は、共用部分の共有持分の割合、あるいはそれを基礎としつつ賛否を算定しやすい数字に直した割合によることが適当
・各住戸の面積があまり異ならないなら、住戸1戸につき各1個の議決権により対応することも可能。住戸の数を基準とする議決権と専有面積を基準とする議決権を併用することにより対応することも可能。
「併用する」とは、たとえば普通決議の際は住戸の数を基準とする議決権を用い、特別決議の際は専有面積を基準とする議決権を用いることが考えられます。
■各住戸の価値に大きな差がある場合
・単に共用部分の共有持分の割合によるのではなく、専有部分の階数(眺望、日照等)、 方角(日照等)等を考慮した価値の違いに基づく価値割合を基礎として、 議決権割合を定める。
・この価値は、必ずしも各戸の実際の販売価格に比例するものではなく、全戸の販売価格が決まっていなくても、各戸の階数・方角(眺望、 日照等)などにより、別途基準となる価値を設定し、その価値を基にした議決権割合を新築当初に設定することが想定される。
参考になれば幸いです。