区分所有マンションの管理組合の総会について5 *総会議事録について、総会を開催しない決議方法について
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<ポイント>
◆理事長は、議事録を保管し、組合員・利害関係人からの請求があれば閲覧させなければならない
◆総会を開催しない決議方法のひとつとして、組合員全員の承諾を前提とした書面等による多数決決議がある
◆総会を開催しない決議方法のひとつとして、決議内容の組合員全員の書面または電磁的方法による合意がある

 

前回は、マンション標準管理規約(単棟型)において総会の定足数や決議要件がどのように定められているかについてお話ししました。今回は、標準管理規約(単棟型)(以下、たんに「規約」といいます)における総会議事録や総会を開催しない決議方法について、どのように定められているのかをみていきたいと思います。

総会の議事については、議長が書面(または、電磁的方法が利用可能なら電磁的記録でも可)により議事録を作成しなければならず、議事録には、議事の「経過の要領」「結果」を記載(または記録)しなければならないとされています。
そのうえで、議事録が書面で作成されているときは
「議長」及び「議長の指名する2名の総会に出席した組合員」が署名しなければならないとされており、
当該管理組合において電磁的方法が利用可能で、議事録が電磁的記録で作成されているときは
記録情報について「議長」及び「議長の指名する2名の総会に出席した組合員」が、電子署名法に定める電子署名をしなければならないとされています。

また、理事長は、議事録を保管し、組合員または利害関係人の書面(または電磁的方法)による請求があったときは、議事録の閲覧(議事録が電磁的記録で作成されているときは、記録情報の内容を「紙面」または「出力装置の映像面」に表示する方法により表示したものの、当該議事録の保管場所における閲覧)をさせなければならないとされています。
なお、閲覧について相当の日時・場所等を指定できること、理事長は所定の掲示場所に議事録の保管場所を掲示しなければならないことも定められています。

次に、規約により総会で決議すべき場合に、総会を開催せずに決議する方法についてお話しします。
規約上、組合員全員の承諾があれば、書面(または電磁的方法)による決議をすることができるとされています。ただし、電磁的方法による決議については、あらかじめ組合員に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面または電磁的方法による承諾を得なければならないとされています。
なお、ここにいう組合員全員の承諾は、決議内容に対してではなく、書面または電磁的方法により多数決による決議をおこなうかどうかに対してです。
また、総会に関する規定(招集通知についての規定や代理人の範囲についての規定など)は、書面または電磁的方法による決議にも及ぶとされています。

このように組合員全員の承諾があれば書面等による決議ができますが、総会を開催せずに決議する方法として、規約上もう一つ定められています。
決議内容について組合員全員の書面または電磁的方法による合意があれば、上述した書面または電磁的方法による決議があったとみなされます。

なお、理事長は、議事録と同じく、書面による決議に係る書面または電磁的方法による決議に係る電磁的記録を保管し、「組合員」または「利害関係人」から請求があったときは閲覧をさせなければならないとされています。

規約のコメントをみると、議事録等の閲覧請求ができる「利害関係人」とは、敷地・専有部分に対する担保権者、差押え債権者、賃借人、組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者など法律上の利害関係がある者をいい、単に事実上利益や不利益を受けたりする者、親族関係にあるだけの者などは対象とはならないとされています。

参考になれば幸いです。