区分所有マンションの管理組合の総会について4 *定足数・決議要件
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<ポイント>
◆標準管理規約(単棟型)において一般的な定足数は議決権総数の半数以上の組合員の出席であり、決議要件は出席組合員の議決権の過半数
◆特に慎重を期すべき事項については要件を厳格化

 

前回は、マンション標準管理規約(単棟型)において議決権の行使方法がどのように定められているかなどについてお話ししました。今回は、標準管理規約(単棟型)(以下、たんに「規約」といいます)において総会の定足数や決議要件がどのように定められているかについてお話しします。

規約上、総会の会議(WEB会議システム等を用いての開催を含みます)の定足数については、議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならず、書面(や、管理組合において電磁的方法が利用可能なら電磁的方法)、代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす、とされています。
また、規約のコメントをみますと、議決権を行使できる組合員がWEB会議システム等を用いて出席した場合については、定足数の算出において出席組合員に含まれると考えられるが、議決権を行使できない傍聴人としてWEB会議システム等を用いて議事を傍聴する組合員については、出席組合員には含まれないと考えられる、とされています。

そのうえで総会の議事においては、組合員等にあらかじめ通知した事項についてのみ決議できるとされているところ、原則としてその出席組合員の議決権の過半数で決する、とされています。

ただし、特に慎重を期すべき事項を特別の決議によるものとされており、次の事項は、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決するとされています。
1.規約の制定・変更・廃止
2.敷地及び共用部分等の変更(その形状または効用の著しい変更を伴わないもの及び耐震改修促進法に基づき耐震改修の必要がある旨の認定を受けた建物の耐震改修を除く)
3.区分所有法に基づき、特定の区分所有者が専有部分を使用することの禁止・区分所有権の競売・占有者からの専有部分の引渡しを求めて訴えを提起する場合
4.建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
5.その他総会で、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決することとした事項

なお、規約の制定・変更・廃止が、一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすときはその承諾を得なければならない、
敷地及び共用部分等の変更が、専有部分または専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすときは、その専有部分を所有する組合員またはその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない、
ただし当該組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない、
とされています。
また、上述した訴訟提起をするには、あらかじめ当該組合員または占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない、とされています。

建替え決議やマンション敷地売却決議については、決議要件がさらに厳格化されています。
建替え決議は、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行うとされています。
マンション敷地売却決議は、組合員総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上で行うとされています。

参考になれば幸いです。