<ポイント>
◆住戸が共有されている場合、議決権行使者1名を選任
◆総会に現実に出席せずに書面または代理人による議決権行使が可能
◆標準管理規約(単棟型)では代理人の範囲が定められている
前回は、マンション標準管理規約(単棟型)では管理組合の総会に出席できる者や議決権割合について述べました(「区分所有マンションの管理組合の総会について2」 をご参照)。
今回は、標準管理規約(単棟型)で議決権の行使方法がどのように定められているかなどについてお話しします。
■住戸1戸が数人で共有されているとき、議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなすとされており、共有者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならないとされています。
■【書面による議決権行使】や【代理人による議決権行使】が可能です。
【書面による議決権の行使】は、総会には出席しないで、総会の開催前に各議案ごとの賛否を記載した書面(議決権行使書のこと。電磁的方法による提出が可能なときは、電磁的方法を含む)を総会の招集者に提出することです。
【代理人による議決権の行使】は、代理権を証する書面(委任状のこと。電磁的方法による提出が可能なときは、電磁的方法を含む。)によって、組合員本人から授権を受けた代理人が総会に出席して議決権を行使することです。
議決権行使書と委任状は、いずれも組合員本人が総会に出席せずに議決権の行使をする方法という点で同じですが、議決権行使書による場合は組合員自らが主体的に賛否の意思決定をするのに対し、委任状による場合は賛否の意思決定を代理人に委ねるという点で異なります。
【代理人による議決権行使】をおこなう場合、代理人の範囲として、次の者が定められています。
・その組合員の配偶者(事実婚を含む)または一親等の親族
・その組合員の住戸に同居する親族
・他の組合員
標準管理規約(単棟型)のコメントには、当該規約で代理人の範囲が限定されている理由として、区分所有者としての組合員の意思が総会に適切に反映されるよう、区分所有者の立場から見て利害関係が一致すると考えられる者に限定することが望ましい点が挙げられています。
ちなみに成年後見人などの法定代理人は、法律上本人に代わって行為を行うことが予定されている者ですので、規約で定めなくても代理人の範囲に含まれます。
なお、標準管理規約(単棟型)のコメントをみると、WEB会議システム等を用いて総会に出席している組合員が議決権を行使する場合の取扱いは、WEB会議システム等を用いずに総会に出席している組合員が議決権を行使する場合と同じであるとされています。ただし、第三者が組合員になりすました場合やサイバー攻撃や大規模障害等による通信手段の不具合が発生した場合等には、総会の決議が無効となるおそれがあるなどの課題に留意する必要があるとされています。
参考になれば幸いです。