<ポイント>
◆「会議の目的たる事項」とは議題のこと、「議案」とは決議内容の原案のこと
◆特別決議事項には事前に「議案の要領」を通知するよう求められるものと求められないものとがある
今回は、分譲マンションの集会における招集通知の記載内容からお話しします(招集通知の発送時期や宛先、その他通知方法などにつきましては、拙稿「分譲マンションにおける集会について」をご参照ください。)。
区分所有法によりますと、招集通知に「会議の目的たる事項」を示さなければならない旨が定められています。
「会議の目的たる事項」とは集会の議題のことであり、たとえば「管理者の選任」「規約の制定・変更」などのように、集会で決議すべき項目のことです。
そしてさらに、一定の重要な決議事項については、区分所有者があらかじめその内容を把握し、吟味、検討をしたうえで集会に出席したほうが、集会での討議も実効性のあるものになると考えられます。
そこで区分所有法では、次の特別決議事項(区分所有法上、区分所有者およびその議決権の各4分の3以上が賛成することが必要)については、「会議の目的たる事項」に加えて、その「議案の要領」も通知しなければならないとされています。
(1)共用部分の変更(軽微な変更を除く)
(2)規約の設定・変更・廃止
(3)建物の大規模一部滅失の場合における復旧
(4)建替え
(5)団地内の区分所有建物につき、団地の規約を定めることについての各棟の承認
(6)建替え承認決議に係る一括付議
「議案」とは、決議内容の原案のことです。たとえば、あるマンションでは『理事および監事は組合員のうちから総会で選任する』と規約で定められていたところ、組合員だけでなく外部専門家も理事や監事として選任できることとし、集会決議により成立させようとしたとします。
この場合の「議案」とはたとえば
「規約中第〇〇条△△項を『理事および監事は総会で選任する。』に変更する。」
「規約中第〇〇条に『組合員以外の者から理事又は監事を選任する場合の選任方法については細則で定める。』との項を✕✕項として追加する。」というものです。
なお、特別決議事項であっても
(1)管理組合法人となること
(2)管理組合法人の解散
(3)共同利益違反行為をした区分所有者に対する専有部分の使用禁止の訴えの提起
(4)共同利益違反行為をした区分所有者に対する区分所有権の競売の訴えの提起
(5)共同利益違反行為をした占有者に対する引渡しの訴えの提起
などについては、区分所有法上「議案の要領」を通知すべきとはされていません。
なぜなら、(1)(2)については「会議の目的たる事項」がそのまま議案とも考えられるからです。(3)(4)(5)については、その内容上、集会で明らかにすべきだからと考えられますが、各区分所有者が訴え提起の必要性等を吟味・検討できるよう、いかなる行為が問題となっているのかを「議案の要領」として示した方がよいとの考えもあります。
参考になれば幸いです。