マンション標準管理規約における帳票類等の作成・保管について
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◆理事長は、組合員や利害関係人から『理由を付した書面等』による請求がなされれば、一定の帳票類や長期修繕計画書等を閲覧させなければならない
◆理事長は、組合員や利害関係人から『理由を付した書面等』による請求がなされれば、当該請求者の求める財務・管理に関する一定の情報の記載した書面等を交付しなければならない

 

今回は、マンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準規約」といいます)で定められている、帳票類等の作成・保管についてお話しします。

理事長は以下①②③を、書面または電磁的記録で作成して保管し、組合員または利害関係人から『理由を付した書面または電磁的方法』による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない、とされています。
①会計帳簿
②什器備品台帳
③その他の帳票類
なお、標準規約コメントをみますと、作成・保管すべきその他の帳票類として、領収書や請求書、管理委託契約書、修繕工事請負契約書、駐車場使用契約書、保険証券などが挙げられています。

また、理事長は、以下④⑤⑥を保管し、組合員または利害関係人から『理由を付した書面または電磁的方法』による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない、とされています。
④長期修繕計画書
⑤設計図書
⑥修繕等の履歴情報
ただし理事長は、以上①~⑥を閲覧させるにあたり相当の日時・場所等を指定できる、
とされています。

さらに理事長は、標準規約上閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報(上記①~⑥のほか以下⑦~⑫)については、組合員または利害関係人からの『理由を付した書面または電磁的方法』による請求に基づき、当該請求者の求める情報を記入した書面を交付、または当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供できる、
交付の相手方にその費用を負担させることができる、
とされています。
上記①~⑥
⑦総会議事録
⑧理事会議事録
⑨総会資料(議案書及び付随する資料)
⑩理事会で使用した資料
⑪規約原本等
⑫細則の内容を記載した書面
なお、標準規約コメントをみますと、書面交付の対象とする情報としては、
ア 大規模修繕工事等の実施状況、 今後の実施予定、その裏付けとなる修繕積立金の積立ての状況(マンション全体の滞納の状況も含む)
イ ペットの飼育制限、
ウ 楽器使用制限、
エ 駐車場や駐輪場の空き状況
等が考えられるが、その範囲については、交付の相手方に求める費用等とあわせ、細則で定めておくことが望ましい、との説明がなされています。

ちなみに利害関係人とは、標準規約コメントをみますと、敷地、専有部分に対する担保権者、差押え債権者、賃借人、組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者など法律上の利害関係がある者をいい、単に事実上利益や不利益を受けたりする者、親族関係にあるだけの者等は対象とはならない、との説明がなされています。

参考になれば幸いです。