<ポイント>
◆住宅宿泊事業について可能か禁止かを規約に明記することが望ましい
◆可能だとしても一定の態様の住宅宿泊事業に限定する旨明記することも考えられる
◆禁止するとき、その前段階の広告掲載等も禁止する旨明記することも考えられる
国土交通省は、分譲マンションの管理規約のガイドラインとしてマンション標準管理規約を作成し、公表しています。
住宅:マンション管理について – 国土交通省 ( mlit.go.jp)
新型コロナウィルス感染症が落ち着けば、以前のように民泊の供給や需要が増えると思いますので、今回は、分譲マンションの専有部分を利用した民泊について、マンション標準管理規約(単棟型)ではどのように定められているかをお話したいと思います。
標準管理規約(単棟型)では、区分所有者はその専有部分を住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない旨定められています。事業所、事務所、店舗として使用してはならないということです。
「住宅として使用」の意味ですが、規約(単棟型)に添付されているコメントをみると「・・利用方法は、生活の本拠であるために必要な平穏さを有することを要する。」とされており、平穏さを有することが重要ですので、区分所有者がその専有部分を居住用として賃貸したり、週末や出張時だけ使用したり、空き家としたりしておくことは許されると考えられます。
標準管理規約(単棟型)では「住宅として使用」の延長として、区分所有者はその専有部分を住宅宿泊事業法の定める住宅宿泊事業に使用できるとする条項と、使用できないとする条項とが列挙されており、マンションの事情に応じて選択することが想定されています。ここにいう住宅宿泊事業とは何かといいますと、上述した民泊を思い浮かべていただくとよいです。
規約(単棟型)のコメントでは
・住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業については可能か禁止かを明記することが望ましい
・旅館業法の簡易宿所の許可を得て行う「民泊」は、旅館業営業として行われるものであり、通常は「住宅」としての用途に含まれていないと考えられるので、可能としたい場合には、その旨を明記することが望ましい
とされています。
規約(単棟型)のコメントをさらにみていくと、マンションによっては、一定の態様の住宅宿泊事業のみを可能とすることも考えられ、その場合は規約に明記すべきとも書かれています。
どういうことかといいますと、マンションの事情によっては、例えば家主居住型の住宅宿泊事業(住宅宿泊事業者が同じマンション内に居住している住民であるなど)に限り可能とする旨を規約に明記することも考えられるということです。
また、マンションの事情によっては、上述した家主居住型の住宅宿泊事業のうち、住宅宿泊事業者が自ら使用している専有部分において宿泊させる場合(家主同居型)に限り可能とする旨を規約に明記することも考えられます。
さらに規約(単棟型)のコメントでは
・新規分譲時の原始規約等で住宅宿泊事業の可否を使用細則に委任しておくこともあり得る
・住宅宿泊事業を禁止するときは、住宅宿泊事業の前段階の広告掲載等をも禁止する規定を置くこともあり得る
・暴力団の排除のため、暴力団事務所としての使用や、暴力団員を反復して出入りさせる等の行為を禁止する旨の規定を追加することも考えられる
とされています。
参考になれば幸いです。