マンションの大規模修繕工事等に応じない区分所有者への対応
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<ポイント>
◆最終的には「承諾に代わる判決」を求めることになる
◆場合によっては「工事妨害禁止の仮処分」の申立ても視野に入れる
◆弁護士費用の負担に関する管理規約の定めを確認しましょう

 

1 マンションも建物である以上、経年劣化その他の原因による不具合が生じます。こうした不具合が残ったままではマンションの価値は低下します。そのため、定期的な点検・修繕工事が必要となります。
他方で、マンションは、様々な生活基盤をもった、考え方の異なる多くの区分所有者とともに生活しなければなりません。そのため、管理組合等を組成してその組合での決議により考えをまとめていきます。
国土交通省でも「長期修繕計画作成ガイドライン」や、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」などを取りまとめているように、区分所有者の合意形成のために様々なサポートをしています。

2 しかし、修繕計画などは費用負担のある問題であるため、必ずしも全区分所有者の同意が得られるとも限りません。時には管理組合の決定に従わない区分所有者との間で調整がつかないこともあります。
例えば下水の配管等、専有部分に立ち入らなければ工事を実施できない共用部分の工事などは、住戸への立ち入りを拒否されるなどして工事ができなくなることがあります。
また、近年では、こうした明確に反対の意思を表明する区分所有者の他にも、相続人として区分所有権を相続したが管理が面倒で、管理組合からの連絡に全く応答しないケースもあります。
これらケースに対してどのように対応するかは、管理組合も頭のいたいところです。

3 大規模修繕工事に非協力的な区分所有者に対する対応としては、事前にお願いの連絡文を発送することは勿論ですが、それでも対応してもらえない場合には、最終的に訴訟手続によらざるを得ません。あまり聞かない言葉かもしれませんが、専有部分へ立ち入っての工事に関して、「承諾に代わる判決」を求める訴訟提起をし、その後強制執行手続を行うことになります。ただし、判決を取得し強制執行をするには時間がかかります。急ぐときには工事妨害禁止の仮処分を申し立てるなどの対応も考えられます。

4 また、こうした法的手続等には、どうしても弁護士費用がかかります。弁護士費用を相手方に負担させるためには、管理規約で相手方に負担させる旨の規定が必要です。国土交通省が公表している「マンション標準管理規約」でも、例文が記載されていますので参考になります。

5 マンション管理に関する紛争で、話し合いによる解決ができないときは、最終的には法的手続によらざるを得なくなります。
当事務所では、管理組合からの相談対応にも実績があります。こうしたお悩みがあるときは、まずはお気軽にご相談ください。