フリーランス新法への対応 

<ポイント>
◆2024年11月1日から施行
◆取引相手がフリーランスかどうかに注意
◆ハラスメント関係の規程等の整備は早めに

 

2024年11月1日からフリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)が施行されます。
その概要は以前当事務所のメルマガでもお知らせしていますが、このところ顧問先等から具体的にどのように対応したらよいのかをご質問いただくことが増えています。
まだ情報が十分でない部分もあるのですが、現段階での情報や私見をお伝えしたいと思います。

1 対応の必要のある取引等のチェック
この法律でいうフリーランスとの契約と思われるもの、あるいは今後フリーランスとの契約があると思われる部署の確認を行う必要があります。
この法律で対象となっている特定受託事業者(フリーランス)は「個人であって従業員を使用しないもの」、「法人であって1名の代表者以外に役員がおらず従業員がいないもの」なので、株式会社だからといって対象外とは限らないことに注意が必要です。
チェックの手間と対象の認識漏れのリスクを省くため、フリーランスになる可能性のある業者に依頼する契約書等はすべてフリーランス新法対応にしている企業もあります。

2 契約内容等の確認
フリーランス新法の適用を受ける可能性がある取引について、取引条件の明示義務、期日における報酬の支払い義務、禁止行為などの法規制に違反していないかチェックし、また、そのような取引を行う部署に対して、フリーランス新法の情報を伝え新規の契約について注意喚起を行う必要があります。場合によっては、少なくとも当面は、外注するものについては法務部門で契約書等をチェックするようにすることも考えられます。

3 就業環境の適正化
育児介護等の配慮義務、中途解除等の事前予告・理由開示等については事前に関係部署に周知し、具体化したときは法務担当部署に相談をするように周知しておくことが必要です。

4 ハラスメント対応について
この点は就業規則や内部通報規程などの改定が必要になってくる場合があるので早めの準備が必要です。
すでに内部通報制度やハラスメント相談窓口等の通報者や相談者に取引業者を含めている企業は修正の必要はありませんが、そうでない企業は、新たにフリーランス用の対応窓口を設置するか、内部通報制度やハラスメント相談窓口等の運用規程を、フリーランスにも対応する内容にする改定が必要です。
また、就業規則のハラスメント禁止規程についても、「他の従業員に対する」ハラスメントを禁ずる、というような、禁止するハラスメントの対象者を社内の人間に限定する定めをしている場合は、フリーランスや取引業者に対するハラスメントも禁止する内容に変更することが必要となります。
また、これらの改定内容について従業員に周知徹底することも必要ですし、研修などの際にも説明するようにすべきです。
 
それほど支払い金額が多くない外部業者との契約については、各部署の判断で契約しているところも多いと思いますので、各部署にフリーランス新法の情報を共有することがまずは重要になります。
ただ、フリーランス新法の内容は必ずしもシンプルなものではないので、法務担当の部署が積極的に関わるような仕組みづくりも重要です。
今後、厚生労働省等からさらに具体的な注意点等が発表されると思いますので、引き続きウオッチしたいと思います。