スカイプレミアム事件の刑事事件判決
【関連カテゴリー】

<ポイント>
◆検索方法
◆判決の内容について
◆今後について(特に資金の流れについて)

1 スカイプレミアム事件の刑事事件判決の検索方法
スカイプレミアム事件について、2024年7月16日に福岡地方裁判所において金融商品取引法違反に問われた最高経営責任者ら4人の裁判について判決がありました。
あまり知られていないようですが、実はこの判決の内容は裁判所のサイト「裁判例検索」のページで公表されています(私自身も人に教えてもらいました)。ただし、「スカイプレミアム」のキーワードで検索してもヒットしません。
検索方法は次のとおりです。
① 「期日指定」のラジオボタンを選択。
② 裁判年月日の上の段に「令和6年7月16日」と入力。
以上で検索しても一覧中に表示されますが、さらに③ 裁判所名に「福岡地方裁判所」と入力すると限定できます。

2 判決の内容について
判決文では「法令の適用」が「省略」されています。しかし、判決文の「罪となるべき事実」で、「投資一任契約の締結の媒介」(同法第2条8項13号)を被告人ごとに認定しています。そのため、「金融取引業」(同法第2条8項柱書)に該当する「投資一任契約の締結の媒介」行為を法29条所定の内閣総理大臣の登録を受けずに行ったとして、金融商品取引法197条の2第10号の4違反が判断されたものと思われます。
当然ですが、「罪となるべき事実」では「金融商品取引法違反」について判断しているのであり、詐欺罪について判断しているわけではありません。そのため、「詐欺行為」などが判断されているわけではありません。
また、被告人らは犯罪事実を認めているので、「罪となるべき事実」の事実認定も無登録での投資委任契約締結の媒介行為に関して簡単に認定されているだけです。「量刑の理由」は情状に関するものとして認定された事実にすぎません。
この刑事事件判決が、民事事件でどのように利用できるかは検討が必要ですが、訴訟を提起されている方にとって、全く参考にならないわけでもないと思いますので今回記事にしました。

3 今後について(特に資金の流れについて)
2024年11月13日に国外に潜伏していた最高財務責任者が逮捕されたとの報道がありました。警察は、この最高財務責任者が資金の流れを把握しているとみて事件の全容解明を進める方針とも報道されています。
ご紹介した刑事事件判決でも「FX取引の運用に実態がなかったこと」までは認定されていません。詐欺罪の成立のためにはこの運用の実態がなかったことが重要な意味を持ってきますが、そのためには資金の流れ(その設計者・関与者なども含む)が把握できなければなりません。
資金の流れについては,被害者の方から送金代行業者の口座に入金された資金は、海外の口座に流れ、その後が把握できていないようです。他方で、途中の経路は不明であるものの流出していった資金の一部は、幹部、代理店や営業職員の報酬として戻ってきているのも間違いありません。
こうした資金の流れの空白が解明され関与者が明らかになれば、民事事件へも大きな影響を及ぼすものと思います。
以上