<ポイント>
◆原則として会議を開く日の2週間前に、会議の日時・場所・目的を示して組合員に招集通知を発しなければならない
◆会議の目的(議題)により招集手続が異なる
今回から、マンション標準管理規約(単棟型)では管理組合の総会についてどのように定められているかをお話したいと思います。
マンション標準管理規約上、管理組合の総会は、通常総会および臨時総会とし、区分所有法に定める集会に対応しています。
理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集しなければならないとされていますが、標準管理規約コメントをみると『災害又は感染症の感染拡大等への対応として、WEB会議システム等を用いて会議を開催することも考えられるが、やむを得ない場合においては、通常総会を必ずしも「新会計年度開始以後2か月以内」に招集する必要はなく、これらの状況が解消された後、遅滞なく招集すれば足りると考えられる。』とされています。
また、理事長は、必要と認める場合には理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集できます。
総会の議長は理事長が務めるとされていますが、標準管理規約コメントをみると、総会で議長を選任する旨の定めをすることもできる、とされています。
総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(会議の目的が建替え決議やマンション敷地売却決議であるときは2か月前)までに、会議の日時、場所(WEB会議システム等を用いて会議を開催するときは、その開催方法)および目的(=議題)を示して、組合員に通知を発しなければなりません。
標準管理規約コメントをみると、WEB会議システム等を用いて会議を開催する場合における通知事項のうち「開催方法」については、当該WEB会議システム等にアクセスするためのURLが考えられ、これに合わせてなりすまし防止のため、WEB会議システム等を用いて出席を予定する組合員に対しては個別にID・パスワードを送付することが考えられる、とされています。
また、組合員への招集通知は、管理組合に対して組合員が届出をしたあて先に発するものとされていますが、届出のない組合員に対しては、対象物件内の専有部分の所在地あてに発するものとするとされています。
そのうえで、組合員への招集通知は、対象物件内に居住する組合員およびあて先の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、これに代えることができる、とされています。
標準管理規約コメントをみると、所定の掲示場所は、建物内の見やすい場所に設けるものとするとされています。
組合員への招集通知をする場合、会議の目的(議題のことです)が
1.規約の制定・変更・廃止の決議
2.敷地及び共用部分等の重大な変更の決議
3.大規模滅失の場合における復旧の決議
4.建替え決議
5.マンション敷地売却決議
であるときは、その議案の要領も通知しなければなりません。
また、会議の目的が建替え決議やマンション敷地売却決議であるときは、議案の要領のほか、 所定の事項(今回は割愛)を併せて通知しなければならないとされています。
さらに、建替え決議やマンション敷地売却決議を目的とする総会を招集する場合は、少なくとも会議を開く日の1か月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について組合員に対し説明を行うための説明会を開催しなければならないとされています。
標準管理規約コメントをみると、総会と同じくWEB会議システム等を用いて説明会を開催することも可能とされています。
なお、区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者(賃借人など)が会議の目的について利害関係を有する場合、組合員に招集通知を発した後遅滞なく、その通知内容を所定の掲示場所に掲示しなければならないとされています。
最後に、会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときを除き、緊急を要する場合には理事長は理事会の承認を得て、招集通知を発するべき時を、会議を開く日の2週間前から、5日間を下回らない範囲まで短縮できるとされています。