その判断は、一瞬で下さなければならない。
いるかどうか、いた場合連れがいるか、イヤホン装着有無等々。
最近は、大阪東京間の移動に飛行機よりも新幹線を選ぶことが増え、毎回考えてしまうのが、座席の背もたれ倒すときどうする問題。
長いネーミングはさておき、座席の背もたれを倒したいとき、すでに後部座席に座っている人がいる場合、後部座席の人(以下「お相手」といいます。)にどのようにお声がけするか。深く考えることでもないだろうに、考えてしまう。
個人的に乗車時間が昼であろうと夜であろうと富士山側かつ窓側が好きなので、必然的に二人席側に座ることが多い。客層として、特に繁忙期は三人席側だと友人同士や子ども連れのファミリーが、二人席側だと一人客、ビジネスマン、カップルが多い傾向にある気がしている。
年末年始、東海道新幹線で二人席側を観察してみた。
お願い型:座る前にお相手を見て席倒させてくださいとお声がけし、お相手の了解を示す何らかのアクションを得てから倒す。
無言型:お相手とのコミュニケーションはとらずに倒す。
雰囲気型:座る前にお相手に対して会釈等で倒しますね、の雰囲気を出して倒す。
宣言型:座る前にお相手を見て倒しますと宣言してから倒す。
お願い型である私がその手があったかと感心したのは宣言型。
お願い型だと、なんとなく相手にもアクションを求めている。宣言型ならば相手にアクションを求めている感じもしないし、ほどほどの角度に倒すだけならば不快感も与えまい。
漫才同様、お声がけの間やテンポも大事。
始発駅から乗車する場合、途中の品川や新横浜などから乗車する場合でも声かけのタイミングは微妙に異なる。アスリート並みにゼロコンマ何秒の世界。
お相手がビジネスマンや一人客なら席に着いて速やかに、二人客にはどちらともなく、年配者には目を見てゆっくりと、声をかける。
パンデミック後はマスクをしているものの、イヤホンを装着しているお相手にこちらの声が届いていなくても、何となく伝わっているようだ。
宣言型には憧れるけれど、ここはやはりお願い型のままでいこうか。
ご近所付き合いとは大袈裟だが、近い席に乗り合わせたのも何かの縁。たとえ短い時間でも、自ら声を発し、お相手とコミュニケーションをとるのも良いことかもしれない。
飛行機も新幹線も、100%の安全はないけれど、一乗客として、車内の安全性を保つことに貢献できるかもしれない。
着席して落ち着いてからの楽しみは、時には551蓬莱しゅうまいを、時には崎陽軒シウマイをほおばること。デパートやコンビニで選び抜いたスイーツを味わうのも格別。
もしかしたら、座席の背もたれを倒した後の美味しそうな匂いどうする問題のことも考える必要があるのかもしれない。