2007年05月01日

4月20日から24日までIPBA(Inter-Pacific Bar Association、環太平洋法律家協会)の総会が北京で開催され、私はこれに参加してきた。
IPBAとは、環太平洋でビジネスローを取り扱う弁護士が弁護士間の情報ネットワークをつくる機会を提供することを目的とした団体で、1年に1度、各国の持ち回りで開催される総会が主たる活動である。
総会ではビジネスローに関する色々なテーマごとに部会が行われ、参加者は自分の興味のある部会に参加して研鑽を積むとともに、参加者間で親睦を図る。なお、環太平洋の国々に限らず、ヨーロッパからの参加者もある。

私は、大阪で渉外実務研究会を行っている友人の弁護士達と一緒に関西国際空港を出発して、飛行時間約3時間で北京に到着した。北京には平成13年に行ったことがある。約6年振りの北京では街中で古い建物の取り壊しと超高層ビルの建設が行われており、大きな変貌を遂げているように見えた。建設工事の土埃と黄砂とが強風で通行人の頬を打ち、お世辞にも心地よいというようなものではなかった。
北京に到着した日はレセプションがあった。会場となるホテルを出てバスに揺られること約1時間でレセプション会場の近く(会場の少し手前の道端)に着いた。ここで、なぜ待たされているのかよくわからないまま、40分くらいを道端で空しく費やすことになる。あとで、レセプション会場の前で行われる清皇帝とその家臣(に扮した人達)が我々を出迎える儀式のための時間調整とわかった。清皇帝が住んでいると擬したレセプション会場は紫禁城を模したもので、原寸大と思えるくらいの巨大な施設であった。
Grand Epoch City と書いてあったが、多分、新たな観光名所なのだろう。中にはホテルもあるそうだが、とにかくとてつもなく規模の大きいものであり、いつもは観光客で一杯なのだろうと思うが、残念なことに我々IPBAの参加者約600名以外には観光客を見ることはなかったので、非常に寂しい感じがした。レセプションは立食形式のパーティで各々が各国の弁護士と名刺交換をして交流をするというもので、このような名刺交換はその後の昼食、夕食を通じて行われるものであった。

翌21日の午前中は人民大会堂で開会式があり、午後から部会が開始された。私が参加した部会は「外国及び中国のクライアントのための中国での法律実務の向上」、「中国企業の海外市場での新規上場」、「国際税務について」であった。前者はパネルディスカッション形式であり、後二者は各国の制度をかいつまんで説明するというものであった。特に前者には、私のバンクーバー留学時代の友人のカナダ人弁護士(中国系カナダ人)が、北京で企業内弁護士をしている者としての立場でパネラーとして参加しており、彼の活躍の状況も見ることができ、非常におもしろかった。

部会での報告や質疑応答は全て英語であり、私の参加した部会は主としてアメリカやシンガポール等のシステム(たとえば税制等)を紹介するものだったということもあり、とても十分に理解することはできなかったが、休憩時間や食事の時間での各国の弁護士との会話も楽しく、とても刺激的な経験であった。また、中国の発展ぶりを実際に見ることができる機会をもてたことも今回の参加の収穫であった。