新聞やテレビを見ていると、「自動運転車」という言葉に触れる機会が増えたように思います。カメラやレーダーなどで周りの状況を把握し、その情報をもとに人工知能(AI)がハンドル・アクセル・ブレーキ操作を行う車を指すようです。人間の安全運転を支援するにとどまるものから人が全く運転に関わらないものまでいろいろなレベルのものが考えられるようです。
AIが重要であるため様々なIT企業も参入していて、グーグルがハンドルもブレーキもない車のプロトタイプを公道上で走らせている様子をテレビで見たことがあります。また、先日グーグルは自動車メーカーとの提携を模索しているようですが、先日ついにフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の提携を発表しました。
トヨタは「FUN TO DRIVE,AGAIN.」と車を運転する楽しさを訴える広告キャンペーンを展開し、さらには社長が自ら参加するほどのレース好きということもあって、人が運転に関与しないレベルの自動運転技術には消極的なのではとみるふしもありました。ところが4月にはマイクロソフトと共同で合弁会社を設立したことを発表し、5月には配車アプリで有名なウーバーテクノロジーズに出資することを発表するなどしており、これらの企業と自動運転技術の開発でも連携するかに注目が集まっているようです。
このように競争が激化している中、国内の自動車メーカーでは日産が2016年にミニバン「セレナ」をモデルチェンジして販売する際に、高速道路での走行に対応した自動運転システムを搭載するとの報道がなされました。
アクセルペダルから足を離してもセットした速度で走り続けたり、ブレーキ制御をおこなって前方の車との車間距離を維持したりする機能(アダプティブクルーズコントロール)が搭載された車は、すでに他のメーカーからも販売されていますが、低速または停止状態になると解除されます。これに対して日産が、モデルチェンジ後のセレナに搭載しようとしている自動運転システムは、渋滞時には前方の車両の動きに合わせて自動停止・発進まで行う機能を備えているようです。
また、日産についていえば、つい先日、系列の部品メーカーであるカルソニックカンセイの全株式売却を検討しているとの報道がなされました。自動運転技術の開発に投資する資金を確保するためらしいのですが、この報道を受けて「謎」が解けました。
カルソニックカンセイは、F1に参戦しているマクラーレンにこれまでにも製品を納めてきたのですが、今後はオフィシャルサプライヤーとなってさらにマクラーレンとの関係を深めることにしたとの報道が3月になされていました。ただ、日産と資本提携しているルノーもちょうど今年から、(レッドブルに対するエンジン等サプライヤーにとどまらず)チームとしてF1に参戦することに決めているので、カルソニックカンセイがルノーの対戦相手であるマクラーレンとの関係を深めるのを不思議に思っていました。
カルソニックカンセイも日産以外の取引先との関係を強化し、日産もカルソニックカンセイも、それぞれの主力とする分野で世界的に競争力の高めようとしていると「謎」が解けたしだいです。