マンション標準管理規約における義務違反者に対する措置
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<ポイント>
◆共同利益背反行為をおこなう区分所有者や占有者に対し、区分所有法で定める4つの手段がとれる
◆理事会決議に基づいて理事長が区分所有者等に対し、是正のための勧告・指示・警告できる場合がある
◆理事会決議に基づいて理事長が、区分所有者等の行為の差止を求めて訴訟等を追行できる場合がある

 

今回は、マンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準規約」といいます)で定められている、義務違反者に対する措置についてお話しします。

まず、区分所有者または占有者が
A.建物の保存に有害な行為
B.その他建物の管理・使用に関して区分所有者の共同の利益に反する行為
をした、またはするおそれがあるとき、
区分所有法に基づいて必要な措置をとることができる、とされています。

そこで区分所有法をみてみると、4つの手段が挙げられています(手段を実現するための手続は割愛させていただきます)。
1.行為停止等の請求
上記A、Bの行為をした、またはするおそれのある区分所有者・占有者に対し、その行為の停止・その行為の結果の除去・その行為の予防措置を請求できる(訴訟で、または訴訟外で)。
2.専有部分の使用禁止の請求
行為停止等を請求しても共同生活の維持が困難なときは、当該区分所有者に対し、専有部分の使用の相当期間禁止を請求できる(訴訟で)。
3.区分所有権の競売の請求
行為停止等または専有部分の使用禁止を請求しても共同生活の維持が困難なときは、当該区分所有者の区分所有権・敷地利用権の競売を求めることができる(訴訟で)。
4.占有者に対する引渡し請求
他の方法では共同生活の維持が困難なときは、上記A.B.の行為をし、またはするおそれのある占有者に対し、専有部分の引渡しを求めることができる(訴訟で)。

また、標準規約には、義務違反者に対する措置として以下の定めもあります。
区分所有者とその同居人・専有部分の貸与を受けた者とその同居人(まとめて「区分所有者等」)が
法令・規約・使用細則等に違反したとき、
対象物件内における共同生活の秩序を乱す行為を行ったとき、
理事長は、理事会決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告・指示・警告を行うことができる、とされています。

ほかにも区分所有者等が
規約・使用細則等に違反したとき、
区分所有者等または第三者が敷地・共用部分等で不法行為を行ったとき、
理事長は、理事会決議を経て、次の措置を講ずることができる、とされています。
A.行為の差止め・排除・原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して訴訟その他法的措置を追行すること
B.敷地・共用部分等について生じた「損害賠償金」「不当利得による返還金」の請求・受領に関し、区分所有者のために訴訟当事者になること、その他法的措置をとること

参考になれば幸いです。