区分所有マンションにおける会計について 2
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<ポイント>
◆遅延損害金と違約金を加算して未納管理費等を請求できる
◆未納管理費等を請求するにあたり、理事長は理事会決議により訴訟追行できる

今回は、マンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準規約」といいます)で定められている会計のうち、会計報告、管理費等の徴収についてお話しします。

まず会計報告についてですが、理事長は、毎会計年度の収支決算案を、監事の会計監査を経て通常総会に報告し、その承認を得なければならないとされています。法律上は、 理事長(管理者)は総会でその事務に関する報告をしなければならない旨定められているだけですが、標準規約では、収支決算案を報告するだけでなく、総会の承認も得なければならないとされています。

次に管理費等の徴収についてお話しします。
管理組合は、管理費・修繕積立金や駐車場使用料などについて、
・組合員(区分所有者)が各自開設する預金口座から口座振替の方法により管理組合の口座に受け入れることとする
・当月分は別に定める徴収日までに一括して徴収する
・臨時に要する費用として特別に徴収する場合には別に定めるところによる
と定められています。

組合員が徴収日までに納入すべき金額を納入しない場合には、管理組合は、その未払金額について
・年利○%の遅延損害金
・違約金としての弁護士費用等や督促・徴収の諸費用
を未納金額に加算して、その組合員に請求できるとされています。

標準規約コメントをみますと遅延損害金の利率について
・管理費等がマンションの日々の維持管理のために必要不可欠で、その滞納はマンションの資産価値や居住環境に影響し得ること
・管理組合による滞納管理費等の回収は、専門的な知識・ノウハウを有し大数の法則が働く金融機関等による債権回収とは違い、手間や時間などの回収コストが膨大となり得ること
などから、利息制限法や消費者契約法等における遅延損害金利率よりも高く設定する
ことも考えられる、と述べられています。

また標準規約コメントをみますと、弁護士費用等には司法書士費用も含まれるとされており、督促・徴収の諸費用の具体例としては
1.配達証明付内容証明郵便による督促は、郵便代の実費及び事務手数料
2.支払督促申立その他の法的措置については、それに伴う印紙代・予納切手代、その他の実費
3.その他督促及び徴収に要した費用
が挙げられています。

さらに法律上は、理事長が訴訟追行するには総会の決議が必要とされていますが、未納管理費等の回収を迅速におこなえるよう、標準規約上は、理事長は未納管理費等の請求に関して、理事会の決議により訴訟その他法的措置を追行できる、とされています。

なお、収納された遅延損害金、弁護士費用等、督促・徴収の諸費用は、管理費が充当される費用と同じ費用に充当されるとされています(管理費が充当される費用については 区分所有者が管理組合に納入すべき費用 https://www.eiko.gr.jp/lawcat/7-3/ をご参照ください)。

参考になれば幸いです。