<ポイント>
◆各マンションの実情に応じて役員資格を広げたり狭めたりできる
◆マンションの規模によっては理事会をサポートするための部会等を設けることも考えられる
◆法人そのものは役員になれないと解される
今回から、マンション標準管理規約(単棟型)では、理事や監事といった役員についてどのように定められているかをみていきたいと思います。
まず、管理組合には次の役員を置くとされています。
・理事長
・副理事長 ○名
・会計担当理事 ○名
・理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む) ○名
・監事 ○名
また、理事や監事は総会決議で組合員の中から選任・解任し、理事長・副理事長・会計担当理事は理事会決議で理事の中から選任・解任する旨定められています。
もっとも、マンション管理が高度化・複雑化しているので、組合員でない外部専門家(マンション管理士、弁護士、建築士など)を役員として選任できるよう、組合員要件を外した規定も示されています。組合員以外の者から理事又は監事を選任する場合の選任方法については細則で定める旨定められています。
逆に、理事や監事になるための資格を狭めることも考えられます。標準管理規約(単棟型)コメントをみると、それぞれのマンションの実態に応じて理事や監事を「現に居住する組合員」の中から選任・解任するというように居住要件を加えることも考えられる、と述べられています。
次に、理事の員数や、理事会をサポートするための部会・幹部会について述べます。
標準管理規約(単棟型)コメントでは、理事の員数について、おおむね10~15戸につき1名選出するものとし、員数の範囲は、最低3名程度、最高20名程度とし、○~○名という枠により定めることもできる、と述べられています。
また、同コメントでは、200戸を超えて役員数が20名を超えるような大規模マンションでは、 理事会のみで実質的検討を行うのが難しくなるので、要約すると
1.理事会の中に部会を設け、各部会に理事会の業務を分担して実質的な検討を行うような、複層的な組織構成、役員の体制を検討する必要がある、
2.この場合、理事会の運営方針を決めるため、理事長、副理事長(各部の部長と兼任するような組織構成が望ましい。)による幹部会を設けることも有効である、
3.理事会運営細則を別途定めて部会を設ける場合、理事会の決議事項を決定するのは、あくまで理事全員による理事会であることを明確にする必要がある
旨述べられています。
次に、法人そのものが役員になれるのかについて述べます。
この点については、標準管理規約(単棟型)のコメントで、要約すると
1.役員として意思決定できるのは自然人であり、法人そのものは役員になることができないと解すべき
2.法人が区分所有する専有部分があるマンションにおいて、法人関係者が役員になる場合には、管理組合役員の任務に当たることを当該法人の職務命令として受けた者等を選任することが想定される
3.法人・団体等から派遣された外部専門家を役員として選任する場合、当該法人・団体等から指定された自然人を選任することが想定される
と述べられています。
次回も、標準管理規約(単棟型)における役員についてお話ししたいと考えています。