<ポイント>
◆管理費は「通常の管理に要する経費」、修繕積立金は「特別の管理に要する経費」に充当
◆議決権割合の設定方法と管理費等の負担額の算出方法は、同じでなくてもよい
今回は、マンション標準管理規約(単棟型)において、区分所有者が管理組合に納入すべき費用についてどのように定められているか、お話しします。
標準管理規約(単棟型)では、
1)区分所有者は、敷地及び共用部分等(共用部分・付属施設のこと)の管理に要する経費に充てるため、管理費等(管理費・修繕積立金のこと)を管理組合に納入しなければならない
2)これらの額は、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出する
とされています。
管理費は「通常の管理に要する経費」、修繕積立金は「特別の管理に要する経費」に充当されます。
共用部分だけでなく敷地や付属施設の管理に要する経費も、区分所有者全員の負担としている理由は、標準管理規約(単棟型)は、敷地や付属施設も区分所有者全員の共有となっていることを前提としているからです。
なお、標準管理規約(単棟型)のコメントをみると、
管理費等の負担割合を定めるにあたり使用頻度等は勘案しない、
管理費のうち管理組合の運営に要する費用は、組合費として管理費と分離して徴収できる、
議決権割合の設定方法について一戸一議決権や価値割合を採用する場合であっても、管理費等の負担額は、なお共用部分の共有持分に応じて算出することが考えられる、
とされています。
また、標準管理規約(単棟型)では、管理組合が管理費等について有する債権は、区分所有者の特定承継人に対しても行える、とされています。
次に、管理費について説明します。
管理費は、以下の「通常の管理に要する経費」に充当する、とされています。
・管理員人件費
・公租公課
・共用設備の保守維持費・運転費
・備品費、通信費その他の事務費
・共用部分等に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料
・経常的な補修費
・清掃費、消毒費・ごみ処理費
・委託業務費
・専門的知識を有する者の活用に要する費用
・管理組合の運営に要する費用
・その他建物・敷地・付属施設の通常の管理に要する費用(標準管理規約(単棟型)では複数挙げられているが割愛)
なお、標準管理規約(単棟型)のコメントをみると「管理組合の運営に要する費用」には役員活動費も含まれ、一般の人件費等を勘案して定めるものとするが、役員は区分所有者全員の利益のために活動することに鑑み、適正な水準に設定することとする、とされています。
最後に、管理組合の管理費等と自治会の自治会費との関係について説明します。
標準管理規約(単棟型)のコメントをみると、
1)管理組合は、区分所有者全員で構成される強制加入の団体であり、居住者が任意加入する地縁団体である自治会、町内会等とは異なる性格の団体であるので、管理組合と自治会、町内会等との活動を混同することのないよう注意する必要があること
2)各居住者が各自の判断で自治会又は町内会等に加入する場合に支払うこととなる自治会費または町内会費等は、地域住民相互の親睦や福祉、助け合い等を図るために居住者が任意に負担するものであり、マンションを維持・管理していくための費用である管理費等は別のものであること
3)自治会費または町内会費等を管理費等と一体で徴収している場合には、以下の点に留意すべきであるとして、
ア 自治会または町内会等への加入を強制するものとならないようにすること
イ 自治会または町内会等への加入を希望しない者から自治会費又は町内会費等の徴収を行わないこと
ウ 自治会費または町内会費等を管理費とは区分経理すること
エ 管理組合による自治会費または町内会費等の代行徴収に係る負担について整理すること
とされています。
次回は、修繕積立金などについてお話しする予定です。