執筆者:スオミュージック
2022年08月15日

手ぬぐいを使い始めたのは10年ほど前から。それまではタオルハンカチやハンカチを持ち歩いていた。手ぬぐいは、タオルハンカチより乾きやすく、ハンカチのようにぴしっとしてなくても気にならない。最初は100均で購入したものから使い始めた。でも手ぬぐい屋の注染手ぬぐいを使い始めたら、使い心地も使い勝手も良く、手ぬぐいコレクションが増えていった。

ぬれた手をふいて、拭いた面を内側にして、かばんに戻す。そうすれば、かばんの中でとなりあったものを湿らせることもない。コロナ禍でのマスク生活が始まると、外で食事するときは、外したマスクを折りたたんだ手ぬぐいの使わない裏面に入れておく。マスクケースだと毎日洗うのは手間。手ぬぐいなら他の洗濯物と一緒に洗濯機に入れるだけ。

グラスやお皿を拭いたり、包んだりもできる。ティッシュカバー、ブックカバー、枕カバーなどなど、手を拭う以外にも活躍。使い込んだあとは裂いてハタキにしたり、掃除に使ったりもするそうだけど、私の手ぬぐいたちは、まだ現役の手ぬぐいたる手ぬぐいとして、代わる代わる私と行動を共にしている。

いろいろな柄やデザインを楽しめるのもまた一興。季節ものの柄は額に入れて飾るもよし、吊るすもよし。手ぬぐい屋さんだけではなく、展覧会や美術館、博物館、老舗珈琲店など、様々な場所で限定グッズとして並んでいるのを見かけると、ついつい手がのびて、コレクションがふえていく。

のんびりしたい気分のとき、元気を出したいとき、おしゃれにキメたい気分のとき、その日の気分で持ち歩く手ぬぐいを選ぶこともある。手持ちのハンカチは、大人っぽいものか可愛いものか、の二択。手ぬぐいは、幅広いジャンルの柄に挑戦できる。最近新調した手ぬぐいは2枚。1枚は韓国のポシャギをモチーフにしたであろうデザイン、もう1枚はメキシコの死者の祭りをヒントにデザインされたスカル柄。どちらもカラフルで可愛いく、お気に入りだ。注染手ぬぐいは、何年も使い続けたら色のにじみがすすんで、だんだん柄がぼんやりしてくる。それもまた手ぬぐいと私の歴史となる。

すごく使いやすいうえにかさばらないのも、気に入って使い続けている理由のひとつ。電車やバスの冷房が効きすぎているときに、かばんにしのばせた手ぬぐいを肩にかけるだけで、体感が変わり寒さがしのげる。薄い布っぺら一枚とあなどるなかれ。助けられたことは一度や二度ではない。

すばらしくて使いやすい手ぬぐいを使いこなせたら粋だ!と思って日々愛用している。そんな手ぬぐいを使いはじめたきっかけは、山登り。数人で川沿いの岩場兼けもの道を下山中、スニーカーのゴム底がはがれてしまった仲間のひとりが、首に巻いていた手ぬぐいを裂き、スニーカーとはがれたゴム底を裂いたきれでくるみ、残りのきれをひものように使って結んで合体させ、無事に麓までたどり着いた。その山登りの経緯は略すが、命からがら下山して学んだことは、命を預けられない大人との山登りはせぬこと、手ぬぐいって凄い!!のふたつ。

めまぐるしく変わっていくものもあるけれど、手ぬぐいは昔ながらの技法(「注染」や「捺染」など、手ぬぐい屋さんによって染めの技法は異なる。)で、伝統的な柄、おしゃれな柄、斬新な柄を楽しむことができる。休日は、京都へのお出かけ用、奈良へのお出かけ用、大阪市内へのお出かけ用、高校野球観戦用、などと目的地に合わせてその日の手ぬぐいをチョイス。今年の夏の全国高校野球は、久しぶりの有観客にて“聖地”甲子園で開催。定番の全出場校の名前入りタオルも良いし、高校野球をモチーフとした手ぬぐいもコレクション済みだけど、全出場校の名前入り手ぬぐいが登場することを待ち望んでいる。