勤務間インターバル制度について
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<ポイント>
◆終業時刻と翌日の始業時刻との間に一定時間の休息時間を確保する制度
◆2019年4月から事業主の努力義務に
◆中小企業には助成金制度もあり(2022年4月現在で同年11月30日まで)

働き方改革関連法の一環として、2019年4月に勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務とされています。
今回は勤務間インターバル制度について解説します。

勤務間インターバル制度とは、前日の仕事の終了時間(終業時刻)と翌日の仕事の開始時間(始業時刻)の間に一定時間の休息時間を確保する制度です。
夜遅くまで働き翌朝も早くから働き始めるという勤務状況は、心身ともに労働者への健康への負担を与えるものであり、また、ワークライフバランスの見地からも望ましいものではありません。特に睡眠時間と心身の健康の関連性、長時間労働の与える健康への悪影響は、さまざまな調査結果が示しています。
そのため、働く人の生活時間や睡眠時間を確保し、健康保持や過重労働の防止を図ることを目的として、勤務間インターバル制度の導入が努力義務とされたのです。
現段階では努力義務なので罰則等はありませんが、企業にとっては、この制度を導入することによって、過重労働による体調不良者や事故等の発生を抑止することができるほか、労働者にとって魅力ある職場であることをアピールすることができ、優秀な人材の確保や定着を期待できるというメリットがあります。

インターバルの時間について法規制はありませんが、8時間から12時間のインターバルを設けることが考えられます。ちなみに助成金の対象となる時間数は9時間以上とされています。

勤務間インターバル制度の導入方法は、一般には、「制度導入の検討」、「労使での話し合い」、「労働時間の実態把握」、「実態を踏まえた休息時間の確保と制度設計」、「テスト運用」、「検証・見直し」、「本格導入」の順に行います。
厚生労働省のHPではさまざまな企業の導入事例が紹介されており、それぞれの企業の実態に合った制度設計の参考になると思われます。

労働局では、社会保険労務士の中から任命された「働き方・休み方改善コンサルタント」が、企業の労働時間等の設定の改善に向けた取組みを支援するため、働き方改革に取組む企業への個別訪問によるアドバイス、複数の企業が参加する講習会の講師派遣などのサービスを提供しており、勤務間インターバル制度の導入についてもアドバイスをしてもらえます。

また、勤務間インターバルの導入に取り組む中小企業事業主を支援するため、「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」制度が設けられており、一定の条件を満たせば助成金を受けることができます。

この制度は、働き方の見直しのための他の取組みとあわせて実施することで一層効果が上がると考えられ、健康やワークライフバランスの確保策として今後の動向が注目されています。