マンション標準管理規約と敷地・共用部分等の用法について(1)
【関連カテゴリー】

<ポイント>
◆敷地・共用部分等は通常の用法に従って使用しなければならない
◆バルコニー等は専有部分の一部でなく敷地または共用部分等の一部である
◆バルコニー等には専用使用権が認められている

前回は、マンション標準管理規約における専有部分の用途(住宅宿泊事業)についてお話ししました。今回は、敷地・共用部分等の用法についてお話したいと思います。

分譲マンションの区分所有者は、敷地・共用部分等を共有しているところ、マンション標準管理規約では、区分所有者はこれらを通常の用法に従って使用しなければならないと定められています。共用部分等とは、共用部分および付属施設のことです。

もともと民法では、共有物の全部について【その持分に応じて】使用できる旨定められているところ、分譲マンションの共用部分を持分に応じてしか使用できないとなると、日常生活を送るうえで不都合です。
そこで区分所有法では、共用部分を【その用法に従って】使用できる旨定め、これを前提として標準管理規約は、共用部分だけでなく敷地・付属施設にまで広げて区分所有者に【通常の用法に従って】使用するよう義務づけています。

なお、マンション標準管理規約(単棟型)に添付されているコメントをみると【通常の用法】の具体的内容は、使用細則で定めることとするとされています。具体例として「自転車は、一階の〇〇に置きます。それ以外の場所に置いてはいけません。」という条項が挙げられています。

また、標準管理規約(単棟型)は、敷地・共用部分等のうちバルコニー・玄関扉・窓枠・窓ガラス・一階に面する庭・屋上テラス(まとめて「バルコニー等」といいます)について、特定の区分所有者だけが使用できる権利(専用使用権)を認めています。
標準管理規約(単棟型)に添付されているコメントをみると
(1)バルコニー等については専有部分と一体として取り扱うのが妥当であるため、専用使用権について定めたものである
(2)専用使用権は、その対象が敷地または共用部分等の一部であることから、それぞれの通常の用法に従って使用すべきこと、管理のために必要がある範囲内において他の者の立入りを受けることがある等の制限を伴うものである
(3)工作物設置の禁止、外観変更の禁止等は使用細則で物件ごとに言及するものとする
とされています。

さらに、標準管理規約(単棟型)では、一階に面する庭について専用使用権を有している者は、管理組合に専用使用料を納入しなければならない、とされており、添付のコメントをみると、バルコニー及び屋上テラスが全ての住戸に附属しているのではない場合には、別途専用使用料の徴収について規定することもできる、とも説明されています。
なお、標準管理規約(単棟型)では、区分所有者から専有部分の貸与を受けた者は、その区分所有者が専用使用権を有しているバルコニー等を使用することができる、とされています。

標準管理規約(単棟型)では、駐車場の使用についても定められていますが、またの機会にお話ししたいと思います。
参考になれば幸いです。