8年程前、「なんちゃって“歴女”」という題名のエッセイを執筆しました。
そのエッセイの中で、「父の影響から旅先の近くにお城があると、必ず出向くことにしています。なぜなら、父は無類の歴史好き。そして、石垣マニアなのです。昔から、疑問に思ったことがあればすぐに、知識豊富な父に質問をします。そうすると、その件にまつわる長いエピソード(苦笑)とともにその場で回答してくれます。
そんな環境で育った私は、父に甘え、自発的に調べることをしないため、“歴女”とは呼べません(笑)。
しかし、幼いころから様々な歴史のある場所に連れて行ってもらったことから、石垣や天守台を眺ると、歴史に浸ってしまいます。」と記載していました。
一人娘である私ですが、その割には比較的自由に育ててもらいました。そのせいか、改めて振り返ってみると、俗にいう反抗期というものは特になかったかのように思います。また、私自身、自立心が強かったことから、20代の早い段階で実家を離れ、現在に至ります。
しかし、決して両親との仲が悪いということはなく、月に一度は、両親の様子見がてら、実家に戻るようにしています。
日頃、母とは、LINEという便利なツールで頻繁に連絡を取り合っていますが、父は未だ現役で仕事をしており、とても忙しくしているので、実家に帰らないとなかなか話をする機会がありません。私はその時間を大切にしています。その時間というのも専ら、会話の中心は歴史の話題が多くなります。多くの知識が頭の中に入っている父ですが、未だに新しい情報が無いかと歴史番組を録画し、夜な夜な見ています。リビングでその録画している歴史番組を見ている横に私が座っていると、急に質問が飛んでくるのです。
例えば、「このお城の主な城主は誰だ?」、「この出来事の名前は?」、時には、世界史の範囲も交えてきます。
考える時間はたっぷりと与えてくれ、ヒントも出してくれるのですが、学生時代に学んだ内容であると忘れていることも多く、なかなか答えることができません。歴史と言っても様々な時代がある訳で、私にもあまり興味が持てない時代もあります。しかし、即答できないと、とても悔しい思いをするのです。そんな時は、答えられなかった解答を毎日一度は復唱して、記憶に定着させるのです。これで、次に同じ質問をされても答えることができます!
そんな毎回お馴染みの歴史クイズをしている中で、最近ふと考えることがあります。
自分も年齢を重ねてきて、両親もいつまでも若くはないということ。
実家に戻るといつまでもワガママな私。リビングに座っているだけで、色々とおもてなしをしてくれる両親には本当に感謝しています。
私の自立心の強さは、こんな実家に身を置いていたら、自分で身の回りのことをすることができなくなると無意識の内に自覚していたからかも知れません(笑)。
父との歴史トークもあとどれぐらいできるのかなと考えると、少ししんみりしてしまいます。これからもこの他愛のない時間を大切にし、コロナが落ち着いてきたら久々に家族でお城ツアーにでも出掛けようと思っています。