法人税申告の改正ポイント
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令和3年3月期の決算申告につき、改正の主なポイントをまとめます。

1.押印義務の廃止
税務手続きの負担軽減のため、提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、次に掲げる税務関係書類を除き、押印を要しないこととされました。
(1) 担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
(2) 相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類

2.オープンイノベーション促進税制
青色申告書を提出する法人のうち特定事業活動を行う法人が、令和2年4月1日から令和4年3月31日までの間に、一定のベンチャー企業の株式(以下、特定株式)を出資の払込により取得し、かつ、これをその取得した日を含む事業年度末まで有している場合において、その特定株式の取得価額の25%以下の金額を特別勘定の金額として経理したときは、その事業年度の所得の金額を上限に、その経理した金額の合計額が損金の額に算入されます。
本制度は、対象法人の特定事業活動等の実施状況について経済産業大臣の証明に係る書類を確定申告書等に添付することが適用の要件とされています。
なお、この特別勘定の金額は、特定株式の譲渡その他の一定の取崩し事由に該当することとなった場合には、その事由に応じた金額を取り崩して、益金の額に算入されます。
ただし、その特定株式がその取得の日から5年を経過したものであることについて共同化継続証明書に記載されることにより証明されたものである場合には、取崩し事由に該当することなどによりその特別勘定の金額を取り崩したとしても、益金の額に算入する必要はありません。

3.5G導入促進税制(認定特定高度情報通信技術活用設備を取得した場合の特別償却又は税額控除)
青色申告書を提出する法人で特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律に規定する認定導入事業者に該当するものが、同法の施行の日(令和2年8月31日)から令和4年3月31 日までの期間(以下「指定期間」といいます。)内に、新品の認定特定高度情報通信技術活用設備の取得又は製作若しくは建設(以下「取得等」といいます。)をして、これを国内にある事業の用に供した場合(貸付けの用に供した場合を除きます。)には、その事業の用に供した事業年度において、その認定特定高度情報通信技術活用設備の取得価額の30%相当額の特別償却とその取得価額の合計額の15%相当額の税額控除とを選択適用できます。

4.欠損金の繰戻し還付制度(新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための措置)
令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する各事業年度において、資本金が1億円を超え10億円以下の法人に生じた欠損金額については、新型コロナ緊急経済対策税制により、欠損金の繰戻し還付の適用が認められています。なお、資本金が1億円以下の中小法人等については本措置にかかわらず従前から適用可能となっています。

5.消費税申告期限の特例
令和3年3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から、法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受ける法人が、消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書を提出した場合には、当該提出をした日の属する事業年度以後の各事
業年度の末日の属する課税期間に係る消費税の確定申告書の提出期限が1月延長されます。
なお、申告書期限が延長された期間の消費税の納付については、利子税を併せて納付することとなります。

6.大法人の電子申告の義務化
事業年度開始時の資本金の額が1億円を超える大法人の法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税、消費税の確定申告書、中間申告書及び修正申告書の提出については、令和2年4月1日以後に開始する事業年度(消費税については同日以後開始する課税期間)から、e-Tax、eL-Taxにより提供しなければならないこととされました。
また、大法人が提出する法人税申告書等の添付書類についても電子申告が義務化されています。