法規制への対応における弁護士の活用

<ポイント>
◆事業展開にあたって業法などの法規制に注意する必要がある
◆企業名を伏せて弁護士から行政機関に見解を問い合わせるケースもある

新事業をスタートする、事業内容を従来から変更するという場合、いわゆる業法をはじめとする法規制に注意する必要があります。取引スキームを変更することにより、従来と異なる法令が適用されることもあります。
業法以外にも景表法、消費者契約法、下請法など業態により注意しないといけない法令があります。
弁護士と顧問契約している企業であれば、法令の解釈や適法な事業運営のためのスキーム立案について弁護士に依頼した経験があるかと思います。

法令解釈について行政機関に予め照会する手続として、ノーアクションレター制度(法令適用事前確認手続)やグレーゾーン解消制度があります。
これらは制度化された手続であり、行政機関からの回答が書面でなされるため明確性という点では優れています。その一方で、企業名を示して照会を行う必要があることや、ノーアクションレター制度では照会内容と回答内容が公表されることにより、ケースによっては利用しにくくもあります。
(なお、ノーアクションレター制度では運用上は、企業自身ではなく弁護士などの専門職が依頼者名を伏せて照会を行っているケースもみられます。)

これらの制度によることが不都合な場合にどうするか?
制度に頼らずにオーソドックスに、弁護士から行政機関に問い合わせればよいというのが私自身のなかでの回答の一つです。
弁護士としての私の経験上では、予めガイドラインなど公表された資料を読み込んできちんと整理したうえであれば、行政機関は上記のような制度によらずとも相当程度まで法解釈に関する見解を示してくれることが多いです。
また、回答を求める以上、前提となる事業や取引の内容について行政機関に説明する必要がありますが、依頼者名を伏せた問い合わせであることを理由に行政機関から回答を拒否された経験は今のところはありません。

こうした法規制への対応にあたっては、自社の業態を理解している弁護士に依頼することが大事です。顧問契約などにより継続的に弁護士とコミュニケーションを図っておくことがこうした場面で活きてきます。