分譲マンションにおける集会について 3
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<ポイント>
◆あらかじめ通知した事項のみ決議できるのが原則
◆議決権割合は、原則として共用部分の持分割合
◆規約上、普通決議事項は議決権総数の半数以上の区分所有者が出席し、その過半数で決するもの

今回は、分譲マンションにおける集会の決議についてお話します。招集通知については、「分譲マンションにおける集会について」「分譲マンションにおける集会について 2」をご参照ください。

まず集会で決議できる事項について述べます。区分所有法上、原則として、会議の目的である事項として各区分所有者にあらかじめ通知されたものに限定されています。あらかじめ通知されていない事項については、決議がなされても無効です。
なぜなら、各区分所有者は事前に通知を受けることによって、検討を十分にして集会に出席し、他の区分所有者と充実した討議をおこない、決議に臨めますし、欠席した区分所有者にとっても討議に参加しないまま予想外の決議がなされることのないようにするためです。
もっとも、建物等の管理を迅速・円滑に行うために、普通決議事項と特別決議事項のうち普通決議事項については、あらかじめ通知していなくても決議できると規約で定めることができます。

次に、議決権について述べます。区分所有法上、①各区分所有者の議決権の割合は、原則として共用部分の持分割合とされています。そして②各区分所有者の共用部分の持分割合は、原則としてそれぞれの専有部分の床面積の割合とされています。
そして、①と②のいずれについても規約で別の定めをすることが可能です。たとえば①については、各住戸の面積がそれほど変わらないときは規約で「住戸1戸につき1議決権」と定めることができますし、各住戸の眺望や日照などの違いにより住戸の価値に大きな差が出る場合には、その価値に基づいて、規約で議決権割合を決めることができます(マンション標準管理規約におけるコメント欄では、このような具体例が挙げられています。)。また、規約により、②について各住戸の共用部分の持分割合を等しくする(ひいては①についても「各住戸につき等しく1議決権」)ことができます。

最後に、集会の議事について述べます。区分所有法上、集会の議事は、原則として、区分所有者の過半数かつ議決権の過半数で決せられます。もっとも、区分所有法や規約で別の決議方法が定められているときは、それに従います。
区分所有法で定められた特別決議事項の典型例は、共用部分の重大変更です。たとえば外壁にエレベーターを外付けすることなどです。区分所有法上、区分所有者の3/4以上かつ議決権の3/4以上で決めます(ほかにもありますが割愛します。)。
また、マンション標準管理規約において普通決議事項は、区分所有法上の決議方法と異なり、議決権総数の半数以上を有する組合員が出席して初めて総会が成立し、出席組合員の議決権の過半数で決するとされています。
参考になれば幸いです。