訪問販売や通信販売、電話勧誘販売などに関する改正特定商取引法が2009年12月1日、施行されています。消費者を守る規制を強化するものですが、改正のポイントをご紹介します。
まず、これまで訪問販売、通信販売、電話勧誘販売として規制の対象となる商品やサービスは、政令で定める指定商品、指定役務(サービス)に限定されていました。指定されていない商品役務についてトラブルが明らかになったときには政令で追加してきました。
しかし商品や役務はどんどん多様化していきますので、政令の指定が追い付かず、抜け穴がどうしてもでてきます。
そこで改正法では、指定商品・指定役務という制度を廃止して、原則として全ての商品、全ての役務を対象とすることとし、例外的に規制の対象になじまないものを除外していくという制度に改めています。
例えば、金融商品取引法で規制される商品・役務など他の法律で消費者保護を図っているものについては特定商取引法の規制対象からは外れます。またクーリングオフの規制から外れる商品としては、自動車など契約を結ぶまでに時間がかかるのが一般的であって、その間に購入者の意思が固まるような商品があります。
また、執拗な勧誘から消費者を守るために、訪問販売業者には、消費者に対して「勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めなければならない」とする努力義務を課しました。
ガイドラインでは、「当社の販売する商品についてお話を聞いていただけますでしょうか。」と聞き、相手から「いいですよ。」と勧誘を受ける意思があることを確認すれば、努力義務を果たしていることになる、とあります。
そして、再勧誘禁止規定が導入されています。つまり、「契約を締結しない」との意思を示した消費者に対しては当該契約の締結の勧誘をしてはならない、と定められました。
「契約を締結しない」との意思を示した例としてガイドラインは、「お断りします。」「いりません。」などと告げた場合を挙げており、「今は忙しいので後日にして欲しい」と告げた場合は「契約を締結しない」との意思を示したことにはならない、としています。「訪問販売お断り」との張り紙も、どの契約を対象にしたものか不明瞭なので「契約を締結しない」との意思を示したことにはならない、としています。
「当該契約の締結の勧誘をしてはならない」の意味としては、その場で勧誘を続けてはならないのはもちろん、後日改めて訪問して勧誘することも禁止されています。そして、「当該契約」の意味ですが、ガイドラインではやや広く解されているようです。つまり、浄水器の購入を勧誘されているときに、「浄水器は要らない」といえば、そのときに勧誘している型式のものだけでなく、広く浄水器全般について契約の勧誘をしてはならない、とされています。台所のリフォームを勧誘されているときに「うちはリフォームしません。」といった場合に、リフォーム全般について勧誘してはならない、とされています。
そして、過量販売規制も改正法のポイントです。
つまり、日常生活で通常必要とされる分量を著しく超える商品やサービスなどの契約は契約後1年間、解除できることになりました。1回の売買で必要とされる著しく超える場合はもちろん、ある消費者が過去に購入した実績があって、ある業者が販売すれば過量になる場合や、すでに過量になっているのに重ねて販売する場合も業者がその状況を知って販売する場合は解除の対象となります。
また通信販売については、商品などについて、返品の可否・条件を広告に表示していなければ、8日間送料消費者負担で申込を撤回し、または契約を解除することができることになりました。
広告に表示したといっても小さな字で消費者が読めないようなものでは意味がないので、政令では「顧客にとって見やすい箇所において明瞭に判読できるようにする方法その他顧客にとって容易に認識することができるように表示すること、と定められています。ガイドラインは、カタログ等紙媒体、インターネット、TV、ラジオなどそれぞれの広告で、消費者に分かりやすい表示方法の例を具体的に示しています。
そのほか改正法では消費者があらかじめ承諾を得ないで電子メールでの広告をしてはならないなどとしています。