iDeCo(個人型確定拠出年金制度)
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今回は、iDeCo(個人型確定拠出年金制度)について、概要や税制上の取り扱いをまとめます。公的年金や退職給付を巡る環境が変わりつつある昨今において、平成29年には加入者の範囲が拡大され、ますます関心が高まっています。

1.iDeCo(個人型確定拠出年金制度)とは
日本の年金制度は、①全国民に共通の国民年金、②所得に合わせて変動する国民年金基金(自営業者等)や厚生年金(会社員等)、③プラスアルファ部分の企業年金や個人年金保険等の3段階で構成されています。iDecoはこの③の制度の一種で①及び②の公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金の1つです。加入は任意で、自身で申し込み、掛金を拠出して、運用方法を選ぶ制度で、掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受け取ることができます。また、掛金拠出時、運用時、給付受取時に、それぞれ税制上の優遇措置が講じられています。
iDeCoに加入する際は、金融機関や保険会社などの運営管理機関経由で加入手続きをします。運営管理機関毎に運用商品や手数料が異なります。

2.対象者及び拠出限度額
(1)対象者
①自営業者等(国民年金第1号被保険者)
農業者年金の被保険者の方、国民年金の保険料を免除されている方を除く。
②厚生年金保険の被保険者(国民年金第2号被保険者)
公務員や私学共済制度の加入者を含む。企業型年金加入者においては、企業年金規約において個人型年金への加入が認められている方に限る。
③専業主婦等(国民年金第3号被保険者)
(2)掛金拠出限度額(月額)
①自営業者等
68,000円(国民年金基金の限度額と枠を共有)
②厚生年金保険の被保険者のうち
(イ)厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施している場合
12,000円
(ロ)企業型年金のみを実施している場合
20,000円
(ハ)企業型年金や厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない場合
(下記(ニ)の方を除く)
23,000円
(ニ)公務員、私学共済制度の加入者
12,000円
③専業主婦等
23,000円

3.運用方法
加入者自身が選択した運用商品で運用を行います。具体的には、預貯金、投資信託、保険商品等で、運用の結果次第では年金資産が大きく増えることもあれば元本割れをする可能性もあります。窓口である金融機関等は、必ず3つ以上の商品を選択肢として提示することになっており、加入者はリスクの大小等を考慮して商品を選択することが可能です。

4.給付
(1)老齢給付金
5年以上の年金受け取り又は規約により一時金受け取りの選択が可能です。
ただし、受給は原則60歳に達した場合であり、60歳時点で加入期間が10年に満たなければ、段階的に受給開始年齢が65歳まで引き伸ばされます。
(2)障害給付金
70歳に到達する前に傷病によって一定以上の障害状態になった加入者等が、傷病になっている一定期間(1年6ヶ月)を経過した場合に受給することができます。
(3)死亡一時金
加入者等が死亡した場合には、その遺族が資産残高を一時金で受給することになります。
(4)脱退一時金
確定拠出年金は、原則60歳まで資産を引き出すことができません。
ただし、一定の要件をすべて満たす場合は、60歳未満でも脱退一時金として資産を受け取ることができます。要件を満たさず脱退した場合は、(1)の老齢給付時に受け取ることとなります。

5.税制上の取り扱い
(1)拠出時
加入者が拠出した掛金は、所得税及び住民税において、全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となり、国民年金保険料や厚生年金保険料を負担した場合と同等の扱いとなります。
(2)運用時
運用収益は、発生時には課税されません。給付時には運用収益部分も含めて課税対象になりますが、(3)に記載の優遇により、控除の範囲内であれば課税されないケースもあります。
(3)給付時
年金受け取りの場合は、公的年金等控除が適用されます。
一時金受け取りの場合は、退職所得控除の適用となります。
いずれにしても、積立保険の解約や満期の受取よりも所得税の優遇を受けることができます。