商品を担保とした取引きが変わろうとしています。
企業間で商品を継続的に売買する場合、売主(たとえば商社やメーカー)が買主(たとえば小売店)に納入した商品全部に担保を設定することがよくあります。融資を受ける際に借主が同じような方法で商品を担保として提供することもあります。
このような担保では、商品の種類や保管場所等により担保物の範囲を定め、倒産等の事態の起こらない限り、販売や仕入れにより商品の出し入れが認められています。このような担保を、個々の商品を対象とする個別動産担保に対して、商品を一体として対象とすることから集合動産担保と言います。
ところで、担保を設定する場合、第三者にもそのことが分かるようにしておかなければなりません。そのため、倉庫に張り紙をしたりしますが、商品の種類や数によっては手間がかかりすぎる場合もありますし、張り紙を破いたり商品を移動すれば担保が設定されていることがわからなくなるなど問題があります。そのため、集合動産担保は商取引の担保としては主流ではなく、土地や建物などの資産の少ない中小企業は商品担保により融資を受けたりすることが困難でした。
そこで、土地や建物などと同じように登記によって担保の有無がわかるようにしようという法律の策定作業が進んでおり、「動産・債権譲渡に係る公示制度の整備に関する要綱(平成16年9月8日法制審議会決定)」が出されて、今年秋の臨時国会で制定される見込みとなっています。
その内容は、登記の対象は法人が行う動産(商品)の担保提供であり、個別動産か集合動産かは問いません。また、その存続期間は原則として10年以内とします。
登記されるのは、担保を提供した企業の本店又は主たる事務所の所在の登記所に提供者ごとに編成するファイルを備える方法で行われます。
なお、このような制度は、平成2年ころからアメリカで採用され、統一商法典にも規定されています。また、カナダでもPersonal Property Security Act (PPSA)により採用されています。
上記の新制度と同様に、債務者ごとに担保権の設定状況を公示し、公示方法は主として登記所における登記によって行います。このような登録方法は、コンピューターの発達により可能になりもしくは完成したと言えると思います。
北米以外では、イスラエル及びヨーロッパ諸国でも導入が検討されているようです。
動産担保の公示制度整備へ
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