平成23年度税制改正 第二次確定分のポイント~12月2日施行~
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平成23年度税制改正法案は、本来の年度末である平成23年3月31日までに成立せず、期限切れとなる租税特別措置についてのみ「つなぎ法」を用いて延長された後、6月22日に第一次確定分として、雇用促進税制と期限切れ租税特別措置の延長等のみ抜粋して成立しました。
その後、残りの法案は継続審査となり、さらに一部を抜き出し、第二次確定分として平成23年11月30日に成立(12月2日施行)し、残った法案は不成立となりました。
不成立となった平成23年度税制改正法案のうち、一部は平成24年度税制改正大綱に盛り込まれています。
今回は、第二次確定分について、ポイントを整理してみます。

【適用期日】
1、法人税率(本則税率)の引下げ
   平成24年4月1日以後に開始する事業年度から
2、中小企業者等に対する軽減税率の特例の引下げ
   平成24年4月1日以後に開始する事業年度から
3、減価償却制度の見直し
   平成24年4月1日以後に取得する資産から
4、欠損金の繰越控除制度の見直し
   平成24年4月1日以後に開始する事業年度から
5、貸倒引当金制度の見直し
   平成24年4月1日以後に開始する事業年度から
6、寄附金の損金不算入制度の見直し
   平成24年4月1日以後に開始する事業年度から
7、更正の請求範囲の拡大
   平成23年12月2日以後に確定申告等の提出期限が到来するものから
8、更正の請求期間の延長
   平成23年12月2日以後に確定申告等の提出期限が到来するものから

【改正項目】
1、法人税率の引下げ
(1) 本則税率の引下げ
普通法人の税率が25.5%(改正前30%)、中小法人の年800万円以下の金額の軽減税率が19%(改正前22%)とされました。
(2) 中小企業者等に対する法人税率の特例の引下げ
年800万円以下の金額に対する法人税率が15%(改正前18%)とされました。
(3) 復興特別法人税による調整
平成24年4月1日から27年3月31日までに開始した事業年度については、(1)および(2)の法人税率の10%が法人税率に加算されます。
普通法人・・・25.5%→28.05%
中小企業者・・15%→16.5%

2、減価償却制度の見直し
平成24年4月1日以後に取得する減価償却資産の定率法の償却率は、定額法の償却率(1/耐用年数)を2倍した数(改正前2.5倍した数)とされました。

3、欠損金の繰越控除制度の見直し
(1) 繰越欠損金の使用制度
青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度および青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度における控除限度額について、その繰越控除をする事業年度のその繰越控除前の所得金額の80%相当額とされますが、中小法人等については、現行のままとなっています。
(2) 繰越控除期間の延長
青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間が9年(改正前7年)に延長されました。

4、貸倒引当金制度の見直し
貸倒引当金制度の適用法人が、(1)中小法人等、(2)銀行、保険会社その他これらに類する法人、(3)売買があったものとされるリース資産の対価の額に係る金銭債権を有する法人等に限定されました。
前記以外の法人の平成24年度から26年度までの間に開始する各事業年度については、現行法による損金算入限度額に対して、平成24年度は4分の3、25年度は4分の2、26年度は4分の1の引当が認められます。

5、寄附金の損金不算入制度の見直し
(1) 一般の寄附金の損金算入限度額引下げ
資本基準と所得基準の合計額の4分の1(改正前2分の1)とされました。
(2) 特定公益増進法人等に対する寄附金の損金算入限度額引上げ
一般の寄附金の損金算入限度額の縮減額と同額の拡充が行われています。

6、更正の請求の範囲拡大
当初申告の確定申告書に適用金額を記載した場合等に限り適用を受けることができる以下の制度等について、確定申告書、修正申告書または、更正の請求書に適用金額を記載した書類の添付がある場合等に限り、適用が受けられます。
また、控除額の制限が見直され、更正の請求により、当初申告時の控除等の金額を増額できることになりました。
なお、適用を受けることができる金額は、添付書類に記載された金額を基に計算された金額を限度とします。
(1)受取配当等の益金不算入、(2)外国子会社から受ける配当等の益金不算入、(3)指定寄付金および特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入、(4)所得税額控除、(5)外国税額控除、など

7、更正の請求期間の延長
納税者がする更正の請求について、請求をすることができる期間が原則として5年(改正前1年)に延長されました。