社会保障・税一体改革のポイント
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年金・医療・介護など増大する社会保障費を踏まえ、持続可能な社会保障制度の構築とその財源確保および財政健全化を図るための「社会保障・税一体改革」が現在、我が国が直面する最大のテーマとなっています。
そこで、一体改革のうち、主に、税制抜本改革事項を中心にそのポイントを整理しました。

【消費税】
1、税率の段階的引上げ
(1) 平成26年4月1日より8%(内、地方消費税分1.7%)
(2) 平成27年10月1日より10%(内、地方消費税分2.2%)
また、引上げが実施される場合、工事の請負等については経過措置が設けられます。

2、課税の適正化
(1) 事業者免税点制度
資本金1千万円未満の新設法人に関する免税点制度について、5億円超の課税売上高を有する事業者が直接または間接に支配する法人(親族、関連会社を含めた資本の持分比率が50%超の会社)を設立した場合には、その設立された法人の設立当初2年間については、課税事業者とするなど現行の資本金1千万以上の新設法人に対する措置と同様の措置が講じられます。
この改正は、平成26年4月1日以後に設立される法人に適用されます。
(2) 簡易課税制度
簡易課税制度のみなし仕入率については、実際の仕入率を大幅に上回っている業種があることから、今後の実態調査を踏まえ、見直しが行われます。
(3) 中間申告制度
中間申告義務のない直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を含む)が60万円以下の事業者のうち、自主的に中間申告を行う意思を有する事業者について、任意の中間申告(年1回・半期)を可能とする制度が導入されます。
この改正は、平成26年4月1日以後に開始する課税期間に係るものに適用されます。

【個人所得課税・税率見直し】
平成27年分の所得税から課税所得5千万円超の所得税率が、40%から45%に引き上げられます。

【相続税の見直し】
1、基礎控除の縮小
(1) 定額控除額が5千万円から3千万円に縮小されます。
(2) 法定相続人比例控除額が1千万円から600万円に縮小されます。

2、死亡保険金に係る非課税限度の法定相続人の範囲限定
現行は、500万円に法定相続人の数を乗じた金額ですが、法定相続人の範囲が、未成年者、障害者または相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限定されます。

3、税率構造の見直し
最高税率が50%から55%に引き上げられます(図表1)。

4、未成年者控除・障害者控除の引上げ
(1) 未成年者控除・・・20歳までの1年につき10万円(現行6万円)
(2) 障害者控除・・・・85歳までの1年につき10万円(現行6万円)、特別障害者は20万円(現行12万円)
以上の改正は、平成27年1月1日以後の相続または遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。

【贈与税の見直し】
1、税率構造の見直し
(1) 20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産に係る贈与税の税率が新設されます(図表2)。

(2) (1)以外の場合の最高税率が50%から55%に引き上げられる一方、税率区分が8段階(現行6段階)とされ、贈与額によっては税率が引き下げられます(図表3)。

2、相続時精算課税制度の適用要件の見直し
(1) 受贈者の範囲に「20歳以上である孫」が追加されます。
(2) 贈与者の年齢要件が、60歳以上(現行65歳以上)に引き下げられます。
以上の改正は、平成27年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る贈与税について適用されます。