上場企業は、2008年4月1日以降に開始する事業年度においては四半期(3か月)ごとに決算内容を財務局に提出しなければいけません。いわゆる四半期報告書です。
四半期報告書は、監査法人による監査を受けたうえで提出しなければならず、提出期限は四半期終了後45日以内です。
先月(2008年11月)には、第2四半期報告書を期限までに提出できない企業が続出しました。3月31日を決算日としている企業が比較的多く、こうした企業では第2四半期(7月1日~9月30日)に関する四半期報告書を11月14日までに提出しなければいけないことになります。
四半期報告書の提出が遅れる理由としては、事業の継続性や資産評価などについて検討するために日数がかかることを挙げているケースが多くみられました。
実際のところは、こうした事項について会社なりの意見はまとまっているものの監査法人と意見が食いちがっており、監査法人から「財務諸表として適正である」という意見をもらうことができていないので四半期報告書を提出できなかった、というケースが大部分と考えられます。
決算作業の単純な遅れではなく、財務状態の悪化が四半期報告書提出の遅れの背景にあります。
四半期報告書提出の遅れとともに監査法人の交替についても同時期に公表する会社もあります。意見調整を行ったものの監査法人から適正意見をもらえなかったという場合、会社は従来の監査法人との監査契約を打ち切り、ほかの監査法人と契約して監査を受けることになります。このため、四半期報告を提出できるかどうかと監査法人交替の問題がリンクする結果となります。
監査法人の責任が注目を集めるなかで、監査法人も企業の財務諸表に適正意見を出すことに慎重な姿勢を示しているのだろうと思われます。
また、四半期報告書の提出が一定日数以上遅れる会社の株式について、証券取引所は「監理銘柄」に指定します。
上場廃止基準に該当するおそれがある会社の株式について、証券取引所は「監理銘柄」という指定を行うことにより投資家への注意喚起を行います。上場廃止されているわけではないので監理銘柄の株式でも売買は通常どおりに行えます。
例えば、東証では、四半期終了後60日以内(下記※1)に財務局に四半期報告書を提出できない見込みの会社については監理銘柄に指定することとなっています。
さらに、四半期終了後90日以内(下記※2)に四半期報告書を提出できなかった場合には上場廃止となります。
提出が遅れている会社も今後近いうちに第2四半期報告書を提出するものと思われますが、
万が一、12月29日になっても第2四半期報告書を提出できていない場合には一定期間の整理手続を経て上場廃止ということになります。
※1 経過措置であり、本来なら四半期終了後「45日以内」に提出できない見込みの場合に監理銘柄に指定されます。
※2 経過措置であり、本来なら四半期終了後「45日プラス1か月以内」に提出できない場合に上場廃止となります。
有価証券報告書でも同様ですが、四半期報告書について監査法人の適正意見をもらったうえで所定の期限内に提出できるかどうかは会社にとって重要な事項です。
情報開示をルールどおりに行えないこと自体問題ですし、提出が遅れる背景事情として財務内容の悪化が生じているケースが多いため、有価証券報告書や四半期報告書をルールどおりに提出できない会社は市場において否定的な評価を受けてしまいます。